ナタのようなものを所持していることに気づいた
ーーご無事で何よりでした。その人物はどんな風に話しかけてきたのですか?
「最初は犬好きの人が普通に話しかけてきたように思いました。犬の名前を聞いて呼んでみたり、犬の年齢を聞いたり…よくある感じでした。途中で相手がケースに入ったナタのようなものを持っているのに気づき、警戒はしていました」
ーー男は突然キレ始めたのですか?
「急に『ブラッシングしなきゃだめだ』と言ってきたので、『毎日ブラッシングしてるんですよ』と、ごく普通に答えたのですが、突然、1日何分ブラッシングしてるんだ!ブラッシングしろー!とナタのようなものを振り回し始めて、唖然としました…」
ーーコアくんはどのタイミングで威嚇を…?
「ナタのようなものを私に振り下ろした時です。危険だと判断したのでしょう。コアも怖かったのだと思います。現場に到着した数人の警察官に囲まれた時も敏感になっていましたが、警官の方から優しい声で話しかけられたりなでてもらい、落ち着きました。警察官の中のお一人がコアを見て、『警察犬のジャーマン・シェパードより大きい』とおっしゃっていたので、もしかしたら犬に詳しい方だったのかもしれません」
「人を警戒して吠える」は教えていない
ーーコアくんは「人間に警戒して吠える」という訓練をしているのですか?
「コアは災害救助犬なので、人を警戒して吠えることは教えていません。吠えることを教えるのは、要救助者を見つけてアラートする時と、『吠えろ』というキュー(声符)を出す時だけです」
ーー災害救助犬であるコアくんには、「本当はこういう経験はさせたくなかったです」とツイートされていましたね。
「コアが吠えたことによって私は守られた結果になり、バディとして頼もしいとは思いましたが、それ以上にコアには、『人間』が『危険な脅威』であるという経験をさせたくありませんでした…。コアは今、他人に対して敏感になっています。とにかくコアの目の前にいる時は、私自身が穏やかであるように自分をコントロールしたいです。しばらくは家族以外の人間と遊んでもらったり、おやつをあげてもらうようにしたいと思います」
◇ ◇
その後、男が2022年末にも動物虐待で騒ぎを起こしていたことを知ったRookieさん。今回の現場に対応した警察官からは、「危険を感じた際はとにかくためらわずに通報してください」と、助言されたと言う。
「背格好、髪型、年齢、着衣、履いていた靴など、警官から男の特徴を詳しく聞かれたので、出来る限り覚えておくとよいと思いました。ただ、110番通報をした際、まだ男が目の前にいて大声でわめいている状態だったため、そちらから目を離せず動くことも出来なかったのですが、警察から電柱などから今いる場所を知らせるように言われて困りました。異変に気付いた周囲の方が通報してくれたら…と思います」(Rookieさん)
周囲の協力や助けを得られることが望ましいが、人通りの少ない場所で危険に遭遇する可能性も高い。危険を感じたらすぐに通報ができるよう、外出時は必ずスマートフォンを携帯し、取り出しやすい状態にしておくことも大切だ。
■災害救助犬として活躍するコアくんのHP「White Search & Rescue」
■コアくんのYouTubeチャンネル「White Search & Rescue」