1977年の消印、中身は「りぼん」賞金3000円 漫画家・萩岩睦美さんが再会した「15歳の大切な思い出」

中将 タカノリ 中将 タカノリ

年末の大掃除で出てきた青春の思い出がTwitter上で大きな注目を集めている。

「昨年末の大掃除で出てきたこれ、見てやってください 私が初めて投稿したりぼん漫画スクール(当時15歳)選外もう一息賞でいただいた賞金3000円、もったいなくて使えずずーっとしまってた このあとりぼん新人漫画賞佳作を受賞、デビューは翌年16歳、漫画描き始めて三作目でした。(おそろしや)」と写真を投稿したのは1980年代から2000年代にかけて数々の少女漫画を執筆した漫画家で、現在はイラストレーター、絵本作家、絵描きとしても活動する萩岩睦美さん(@hagiiwa)。

差出人名に「集英社経理部」と書かれた封筒から出てきたのは伊藤博文の肖像が印刷された懐かしい1000円札3枚。これは萩岩さんが15歳の時に投稿した「りぼん漫画スクール」「もう一息賞」を受賞した際の賞品。選外とは言えはじめて漫画誌に作品を認められたという喜びから、ずっと使わずしまっておいたものが数十年の時を経て発見されたというわけだ。

萩岩さんの投稿に対し、SNSユーザー達からは
「1977年の消印?45年も大切にしまっておいたのですね」
「萩岩先生の思い出ですね。三作目でデビューとはすごい才能だと思います。『銀曜日のおとぎばなし』が好きで後で文庫本になったのを買いました。今、なかなかこういうお話しが無いので、時々見返してほのぼのした気分になってとても貴重なひとときです。」
「名前見て驚きました!私が〇十年前りぼんではまってた漫画家さんのお名前だったんで!アイコンもあの頃の絵で懐かしかったです」
「萩岩先生のもう一息賞をちょっと調べてみました。りぼん漫画スクール94回に一万円の恋、と言う作品で入賞されていますねヽ(´ω`)ノ」(漫画家・きたがわ翔さんの投稿)
など数多のコメントが寄せられている。

「旧友に再会したかのよう」

萩岩さんに話を聞いた。

ーーこの3000円を発見された際のご感想をあらためてお聞かせください

萩岩:当初は他の宝物と共にスヌーピーのトランクにしまっておいたのですが、いつのまにかなくなっており、どこにしまいなおしたのか思い出せず行方不明でした。今回思わぬところから出てきた時には大変嬉しく、旧友にサプライズで再会したような感覚でした。

ーー受賞された当時のご感想をお聞かせください。

萩岩:ストーリー漫画として描き始めてから二作目だったし、まだまだ非常に未熟だったので賞に入るとは毛頭思っていませんでした。それが「もう一息賞」に引っかかり、自分の名前が初めてりぼんに活字で載った時にはもう天にも昇る気持ちでした。ちなみに一作目は中学3年の時に11カ月かけてダラダラと最後まで描いたものの、あまりにひどい出来だったためお蔵入り。ツイートではうっかりこれを忘れていて三作目でデビューと書きましたが、正しくは四作目でした。

ーーきたがわ翔さんからのコメントで入賞したのは「一万円の恋」という作品だったということですが、どんな内容の作品だったのでしょうか?

萩岩:すみません、全く覚えておりません。デビュー前後から数年間の作品は自分史上、黒歴史として胸の奥にしまっており、あまりに恥ずかしすぎて読み返すことはありませんでした(笑)。もちろん公開したこともありません。

ーー投稿の反響へのご感想をお聞かせください。

萩岩:まさかこれほど反響があるとは思いもかけず、大変驚いています。でも皆さんのリツイートのおかげでこれまで私がTwitterにいること、未だに画業を続けて活動していることを知らなかったファンの方々にもたくさんフォローしていただくことができ、心よりありがたく感謝しています。3000円という賞金に、さらに46年後沢山のお年玉をもらったような気がしています。

リプライに書かれた皆さんのツボもそれぞれで面白く、15歳の私の感情を共有してくださる方のほか、振り込みではなく現金が送られてきたこと、見たことない伊藤博文氏の1000円札、お札の番号、現金書留封筒、印紙、三桁の郵便番号、などなど楽しんでいただけて何よりです。なおTwitter画像を見てピン札だと勘違いされてる方がいらっしゃいましたが、折り目がついています。

◇ ◇

読者のみなさんにもこうして何十年もしまったままの思い出の品はないものだろうか?思い当たる方は、今度、大掃除や整理をする際にちょっとした宝探しに挑んでみるのも一興だ。

なお萩岩さんは2月1日から名鉄百貨店本店6Fに「萩岩睦美 期間限定ショップ」を出展。本人監修の元、版画工房によって制作された版画を限定発売する。また10月初め頃には福岡で昔の絵を当時のテイストでそっくりに描き下ろした作品の展示販売会「再現画展」を開催予定。多種多様なオリジナルグッズも販売されるので、ご興味ある方はぜひチェックしていただきたい。

萩岩睦美さんプロフィール

漫画家/イラストレーター/絵本作家/画家
1962年、福岡県北九州市生まれ
1978年「りぼん」4月大増刊号で漫画家デビュー。「りぼん」「コーラス」「YOU」「office YOU」など少女・女性漫画誌に執筆
代表作に「銀曜日のおとぎばなし」「魔法の砂糖菓子」「うさぎ月夜に星のふね」「がんこちゃん」「天然家族」他

Twitterアカウント:https://twitter.com/hagiiwa

イベント、グッズ情報:https://art-style.co.jp/-mutsumi-hagiiwa/

「萩岩睦美 期間限定ショップ」2月1日〜2月14日名鉄百貨店本店:https://art-style.co.jp/hagiiwa-2023meitetsu

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