一風変わった電光掲示板を松江市西津田4丁目、国道9号沿いの不動産業、朝日住宅が掲げ、ドライバーの注目を集めている。「オイル交換の後はお部屋交換」「JR松江駅からほふく前進50分」といった、思わず目で追ってしまうフレーズが流れる。掲示板を設置した会社を尋ね、意図や狙いを聞いた。
電光掲示板があるのは松江だんだん道路の津田インターチェンジから、国道9号沿いに西へ約1キロ進んだ場所。会社前に設置された縦200センチ、横50センチの掲示板で、さまざまな文章が下から上に流れる。
文章は「心にポッカリ穴が空いても、部屋に穴は空けないでください」「スピードは控えめに お部屋探しはお早めに」といった住宅に関係するものから「牛丼つゆだけ」「私の彼は左利き、私の会社は右上がり」と、もはや文章だけでは何の会社なのか分からないものまである。交通量が多い国道9号沿いで、ちょうど信号待ちの車からよく見える位置にあるため、多くのドライバーの目に留まる。
文章は「ぱっとひらめいたものを」
電光掲示板といえば、企業の情報や宣伝文句のようなかしこまった文章を流すことが多く、朝日住宅のような掲示板は珍しい。なぜ掲示板を設置し、本業以外のさまざまなフレーズを流すことにしたのだろうか。
朝日住宅の目次修社長(58)は「ほとんどは自分がぱっとひらめいたものを採用している」と明かした。目次社長によると、掲示板そのものは約10年前、社屋が松江市雑賀町にあった頃に設置した。当時は「入居者募集中」といった、よくある文章を流していたという。
現在のような文章になったのは2015年頃から。不動産会社のグループで知り合った石川県の不動産会社が、看板を設置して面白いフレーズを流して話題になったことを知った。楽しいことが好きな目次社長は「面白い。見た人の印象に残りそう」と、自社でも同様の文章を流すことを決めたという。
現在、流れる文章は全部で約30種類になり、その中の数パターンが不規則に表示されている。目次社長は「真面目に考えてひねり出すようなものでもないので、思いついた時に文章を追加している。ここ1年ぐらいは特に思いつかないので、文章を変えていない」と笑った。
社内外からも広く募集
掲示板の文章を現在のように変えて以降、評判が良く、客や取引先から「面白いね」「誰が考えているの」と話が弾むという。堅い印象のある不動産会社と正反対のユニークな文章なため、ギャップが記憶に残るようだ。
目次社長だけでなく、社員が提案した「おばあちゃんがルンバに餌をやってた」「帰宅してうがい手洗い皿洗い」といったものも採用。会社一丸となって掲示板の文章を作り上げている。また、流す文章は社外からも随時募集としているという。
目次社長は「信号待ちの暇な時に見て、にやっとしてもらえたらうれしい。ただ、掲示板を見過ぎて事故を起こさないようくれぐれも注意を」と呼びかけた。
国道沿いにあるユニークな電光掲示板は、遊び心満載の不動産会社が、面白さを追究して手がけたものだった。同様の掲示板は同社の管理センター北店(松江市砂子町)にもある。近くを通行する際は安全に注意しながら探してみてほしい。