「腫瘍」「リンパ腫」で余命3カ月の状態で保護 必死の介護でおもちゃと人間が大好きに…4年間生き抜いてくれた秋田犬

松田 義人 松田 義人

 

保護犬の譲渡活動を通じ、「殺処分ゼロ」の実現を目指すピースワンコ・ジャパン(以下、ピースワンコ)。

これまでにたくさんのワンコを保護してきましたが、中には、譲渡が難しいワンコもいます。例えば、「重度の障害や持病がある犬」「シニア犬」などがその代表です。

こういった譲渡が難しいワンコたちは、同団体の「ワンだふるファミリー」の一員となってくれた多くの方々の支援を受け、スタッフのお世話を受けながら同施設で生活をおくります。2017年3月に同団体に保護されたワンコ・アキータもそういった譲渡が難しいワンコでした

「腫瘍」と「リンパ腫」で余命3ヶ月の宣告を受ける

 

アキータはその名の通り、秋田犬です。一見、元気でヤンチャなワンコでしたが、保護した後、獣医師に診てもらうと「舌円形細胞腫瘍」「頸椎周辺のリンパ腫」を患っていることが判明。さらにアキータは余命3ヶ月と宣告されました。

しかし、大切な命です。獣医師とスタッフが連携し、アキータに対し、献身的な治療とお世話が始まりました。

抗がん剤治療を受ける日々が続き、その成果もありアキータの体調は少しずつ状態が良くなっていきました。体調が良い日のアキータは遊んだり、散歩をしたり、おやつを食べたりと、本来の性格通りの明るく元気いっぱいの幸せな日々を過ごしていました。

アキータは、他のワンコが近くにいると、威嚇したりしますが、どういうわけか人間にはとてもフレンドリーに接します。獣医師やスタッフが治療をするときも、人間が抱っこなどをするときも、全く怒らず穏やかです。

また、おもちゃ遊びが好きすぎて、散歩の際もおもちゃを口にくわえて出かけることもありました。散歩中、散策に夢中になり、大切なおもちゃをうっかり道に置いたままに帰ってきてしてしまい、施設に戻って慌てて探そうとするなんていうオチャメなところもありました。こういったときは、スタッフがアキータの忘れ物を拾って持ち帰り、渡していました。

幸せな生活をおくっていたアキータの体調が急変…

 

そんな幸せな生活をおくっていたアキータですが、2021年春に再び体調を崩し、発作を起こすようになりました。発作が起きるごとに、薬を投与するといったんは落ち着きます。

しかし、同年夏までの間に、そのスパンが短くなっていき、最終的には自力で立ち上がれなくなるほど病状が悪くなりました。

呼吸も荒くなり、アキータは常時酸素機や点滴治療が必要で、寝たきりになってしまいました。

体が大きい秋田犬なので、自分で体を動かせないと下半身に負担がかかってしまいます。スタッフは床ずれにならないように態勢を変えてあげたり、声をかけて様子を見たりと、少しでもアキータが快適に過ごせるように、少しでもアキータの体調が良くなるようにと、お世話する日々が続きました

あれだけ大好きだったご飯も食べなくなったアキータ

本来のアキータは食べることが大好きで、ご飯の前になると、催促するかのように吠えたりしていました。しかし、病状が再び悪化した頃から、あれだけ大好きだったご飯もなかなか食べなくなりました。

スタッフは、少しでも食べてもらえるよう工夫しながらご飯をあげましたが、アキータの食欲はどんどん落ちていきました。どうしても食べてくれないときは、シリンジであげることもありました。

いつもは、寝たきりながらも顔を上げていたアキータでしたが、ある日の晩、珍しく顔を寝床につけて寝ていました。この日の食事も自分では食べられそうになかったため、スタッフがシリンジからあげました。

日向ぼっこから戻った後、虹の橋へと旅立った

 

その翌朝、寝たきりのアキータを抱え、いつも通り日向ぼっこに連れていってあげ、部屋に戻ってくると、アキータはそのままスーッとと眠り、虹の橋へと旅立っていきました。同団体にやってきてから4年6か月。長い闘病の日々をアキータはよくがんばり生き抜いてくれました。

スタッフによると、「ワンコの最期を看取る」ということはとにかく辛く悲しいことだと言います。その一方、当のワンコたちは辛い治療をがんばって受け、旅立つ日が来るまでその命をまっとうしようと生き抜きます。その懸命な姿にスタッフは勇気付けられ、元気をもらい、「保護した全てのワンコたちを幸せにするためにがんばろう」という思いを新たにすると言います。

虹の橋をわたったアキータのように、譲渡が難しいワンコでも同団体ではスタッフが家族となり、天寿を全うするまでお世話を続けます。ただし、このお世話を行い続けるためには、同団体の「ワンだふるファミリー」の方々の支援が必要で、どうか今後も力を貸していただきたいともスタッフは語ってくれました。

これからも同団体の活動、そして多くの人々の支援により、多くのワンコが幸せに、そして与えられた命をまっとうできることを願うばかりです。

ピースワンコ・ジャパン
https://peace-wanko.jp/

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