えっ、お餅が胃に詰まる!?腹痛で救急→消化されないカタマリを発見…「よく噛んで、丸のみしないように」

ドクター備忘録

谷光 利昭 谷光 利昭

年末、年始になるとお餅による窒息の報告が散見されます。しかし、日本人にとって年末年始のお餅は欠かせません。今回は珍しい報告があったので、共有します。

医学雑誌でなければ目を疑うような記事でした。患者さんは65歳女性です。腹痛を主訴に救急病院を受診され、腹部CTで胃内に多層の高密度な物体を認めました。緊急内視鏡では、胃内に直径3センチ大の丸餅10個が確認されました。胃内で硬くなって消化されないお餅が腹痛の原因でした。食べた日から逆算すると5日間も停滞していたようです。

胃酸はお餅を溶かすと考えられていますが、雑煮など温かい汁物の中ではお餅が、胃内の温度では胃液で溶けない程度に硬くなるようです。お餅がそのまま胃の中に残ってしまうと潰瘍などの合併症が起きることもあるので要注意です。

さて、残ったお餅に対して施行された処置は、金属の輪っかを用いてお餅を1センチ弱に刻むというものでした。2日後の検査で胃内にお餅の残存がないことは確認されたようです。1症例のみの報告ですが貴重な報告です。

私も胃にお餅を詰まらせて緊急内視鏡をした経験があります。30代の男性で忘年会でお餅を食べたようです。夜中からひどい腹痛が押し寄せ眠れなかったとのことでした。来院当日に内視鏡を施行したところ、胃の出口を塞ぐようにお餅が張り付いていました。

鉗子(かんし)でお餅をはがして、可及的に砕いて終了した覚えがあります。

「え、餅って消化にいいんと違うの?」と聞かれましたので、よく噛んで食べましょうねと返答したはずです。

個人的に、お餅は消化にいいと考えていましたが、これらのようなことも起こりえます。全ての食材に言えることですが、お餅もしっかり、よく噛んで丸のみはしないようにお願い致します。

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