とんカツなどゲン担ぎより受験生に必要なのは… 「入試当日に作ってあげたいお弁当」をプロに聞いた

宮前 晶子 宮前 晶子

1月から3月は、中学・高校・大学の入学試験が集中する受験シーズン。受験生には、心身ともにベストコンディションで当日の試験に臨んで欲しいところ。試験当日のお弁当でエールを送りたいと考える保護者もいることでしょう。そこで、受験生を食で応援する「受験フードマイスター」でもある料理研究家・安部加代子さんに「受験弁当」の作り方のポイントを教えていただきました。

眠気がこないように

受験当日は、試験会場や学校によって昼食の所要時間や食べる環境などの条件が異なります。「本番に持っていくお弁当について、事前にお子さまと相談した方がいいと思います。昼食時間中に参考書を見ようと考えるお子さまもいらっしゃるので、手で食べやすいおにぎりやパンの方がいい?など聞いてみてください」と安部さん。

「家で食べ慣れていないおかずを入れるのも避けて欲しい」と話します。「ふだんと違ったものを入れると食べられない場合も。また、しっかり食べて、頑張って!という思いから、いつもより多めに作る人もいますが、ボリュームにも注意が必要です」。

時間内に食べきれない、満腹になって試験中に眠気が来た、などちょっとしたことがメンタルに影響を及ぼすので、当日のお弁当のおかずや量については事前に確認した方が良いとアドバイスしてくれました。

理想は、炭水化物(ごはんやパン)、タンパク質(肉や魚)、野菜がバランス良く入っているお弁当。「ごはんなどの炭水化物は血糖値が上昇しやすいのですが、食物繊維が多い野菜やタンパク質を含む肉など血糖値の上昇をゆるやかにする食材と合わせて摂ればOKです。ただし、油っこいおかずは、胃に負担がかかり、集中力低下につながりますから、ほどほどに」。

寒い時期なので、スープジャーの活用も提案。「生姜などからだを温める食材を使ったスープも良いですが、レトルトのスープやカレーでも。カレーは野菜などの具材をたっぷり入れるようにしてください。雑穀米と合わせるのもおすすめです」

受験弁当にとんカツは?

“試験で頑張っているのだから、子どもの好きな唐揚げを入れよう”あるいは“とんカツは受験の験担ぎで必須”と考える向きもありますが、「揚げ物は、衣に含まれる油分、素材となる肉の脂肪分も含めて消化に時間がかかります。胃に負担がかかるので、受験弁当には好ましくないおかず。油っぽいので、集中力低下を招く可能性も。

胃の粘膜を保護するビタミンを含むキャベツや消化を助ける酵素を含む大根などを付け合わせにしたり、温かいスープを先に飲んで空腹を避けるとよいです。酸味があるものは唾液の分泌には効果がありますが、空腹時には胃を刺激するためあまりよくないです。揚げ物なども空腹時にいきなり食べるより、先にほかのものをある程度食べてからがよいかと思います」と安部さん。

集中力も途切れ、眠気にも襲われやすい昼食後の試験対策としては、「たとえば、ごぼうなど噛むことができる食材を選んだり、カット方法を工夫したりしてください」。しっかり咀嚼することで脳を活性させるナッツやチーズもおすすめで、「チーズは血糖値が上がりにくく、ストレスがかかると消費しがちなカルシウムを補給する働きがあります。高カカオのチョコレートを食べるのもありですね」。

前夜の食生活も合否を左右する?

試験当日のお弁当だけではなく、受験前日の食事も配慮して欲しい点だそう。「前述しましたが、揚げ物は消化に時間がかかるので、胃に負担がかかって睡眠中の消化活動にもエネルギーが使われてしまいます。睡眠の質を落とすことにつながります。試験前日はストレスや緊張などでしっかり睡眠を確保できないこともあるので、食事はあっさりした和食が良いでしょう」。

生ものや辛いもの、冷たすぎるもの、甘いものの摂取や食べすぎも回避して欲しいと話します。

さらに、朝食抜きを習慣化している学生、また寝坊して朝食が十分食べられなかったという学生に向けて、「朝食を食べないとエネルギーとなるものがあまり摂取できていません。この場合は、手軽に食べられるものとしてバナナやゼリー飲料のような手軽にエネルギーや栄養がチャージできるものを。おにぎりでは、鮭や納豆巻き、サンドイッチでは卵やハムサンドなど選ぶとよいです」とアドバイス。

試験当日のお弁当はもちろん、今後の受験に向かって塾通いしている学生のみなさまも食生活に気を配り、本番で最善の力を発揮できるようにしたいですね。

◇ ◇

料理研究家、野菜ソムリエproとして日本野菜ソムリエ協会認定料理教室「Kayo’s Vegetable Laboratory」を主宰する安部さんは、レシピ、コラム、雑誌撮影、食サービスの企画など多方面で活動中。受験生を食で応援するレシピをInstagramにて発信していますので、そちらもぜひ参考にしてください。

■安部加代子さんInstagram @vegelabo.kayo

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