ずっと「高笑い」の研究していた...声優の演技の裏側 新アニメ『ノケモノたちの夜』小田果林インタビュー

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1月8日から放映中のアニメ『ノケモノたちの夜』。19世紀のイギリスを舞台に、悪魔と契約したキャラクターたちが繰り広げるダークファンタジーだ。

竹達彩奈さん(ウィステリア役)、小西克幸さん(マルバス役)が主演するなど、放映前から大きな反響があったこのアニメに、第3話のメインキャラ・ハリエット役で出演する声優、小田果林さんに話を聞いた。

声優さんだから見えるアニメの世界、”なんで声優になったの?”的な話、印象的だった役。オフのことまでユルーく直撃した!

話題の“人間✕悪魔”ダークファンタジー

ーー『ノケモノたちの夜』毎週観ています。 原作を読んで、いかがでしたか。

小田 ひとりのファンとして熱中して読みました。激しいバトルや泣けるシーンもありますが、私が特に好きなのは人間と悪魔の会話ですね。いろんな性格の人間と悪魔たちの常識やノリがちぐはぐで、掛け合いが面白くて(笑)。

ーー本作は、『デスノート』から『チェンソーマン』まで多くのヒット作を生んできた”人間”と”悪魔”がコンビを組んで進めていくバディものの新作といえます。

小田 たしかに、キャラクターどうしの関係性は共通するところがあります。『ノケモノたちの夜』でも、全体のテーマにも声優の演技にとっても「関係値」がとても大切なキーワードのひとつです。

時代も、視聴者さんも「関係の深まり」を求めているのかな、と思いますね。

人間と悪魔。対価を支払う契約相手でもあり、相棒でもあるという。それぞれの事情で「ノケモノ」になっている同士が、孤独を持ちよる物語でもあります。

役作りの秘密

ーー小田さんが演じるハリエットは、『リバーサイド・マーダー』編のメインキャラですね。原作ファンからは屈指の名エピソードと言われていますが......

小田 私が演じるハリエットはスリをして生きている、スレたところのある貧しい女の子。オーディションでは別の役を受けたのですが、ハリエット役をお願いしたいと言われまして。本当にこういうことってあるんだと思いました(笑)。

   ◇   ◇

【第三夜:リバーサイド・マーダー】あらすじ

工業都市ウォリントンの路地裏で、最下級の悪魔モリーからスリにあいそうになるウィステリア。翌朝、ウィステリアたちのもとへモリーと、その契約者のハリエットがやって来る。悪魔契約者同士の親交を深めようと誘いにきたのだ。だが、人間形態の多用で消耗の反動が一気にきたマルバスは動くことができず、3人で街へ。夕暮れの川辺でウィステリアたちが話していると、目の前に巨大な川の悪魔の姿が! 危機迫る中、現れたのは……。

   ◇   ◇

ーー演じてみていかがでしたか?

小田 もちろん、私は幸運なことにスリをしないと生きていけない状況になったことはないし、スラムで暮らしてきたわけでもありません。だから、まずはキャラクターを想像して、役作りをしていきました。

ーー声優さんの役作りにはさまざまなスタイルがあるそうですが、小田さんの場合は。

小田 私はキャラクターの「姿勢」をイメージすることから始めます。

堂々と胸をはっているのと、猫背では声の出し方がぜんぜん違うんです。姿勢は生きていくテンポに関係しますから。

ハリエットは街の陰に隠れて、うずくまって生きているような子だった。いつも背中を丸めているんじゃないか。だから喋り方は…とイメージしながら演技を組み立てていきました。

でも、かなり等身大で演じられたと思います。内なるスレた私が、ハリエットに共鳴したんでしょう…。

声優さんの「高笑い」研究

ーーそもそも小田さんが声優になろうと思ったきっかけは。

小田 まず私をアニメ・マンガ好きにしたのは3歳上のお姉ちゃんです。実家でゼニガメと金魚を飼っていたんですが、名前を全部CLAMP作品のキャラ名にしてるような姉で(笑)。

ーーちなみに名前は...?

小田 ゼニガメの名前は「サンユン」。『魔法騎士レイアース』のキャラですね。3匹の金魚は「ちぃ」「琴子」「すもも」。『ちょびっツ』のキャラです。

そのお姉ちゃんが、声優という仕事があることを教えてくれたんです。小学校のときにダンスを習わせてもらっていて、そこにゲストで来た先生が声の仕事をやっている方だったんですよ。そこからお姉ちゃんが声優の存在を教えてくれて、すごく楽しそうだなって。卒業文集には「将来の夢は声優」って書いてました。

本気で目指すなら演技を勉強しようと思って、大学は日本大学芸術学部で演劇を専攻しました。シェイクスピアからガッツリ教えてもらいました。

ーー本格的ですね。役者もやりたいと思いましたか。

小田 いやー、なかったですね…。声優になるために演劇を勉強したので(笑)。私、あまり人前で演技するのが好きじゃなくて。マイクの前の方が自由にリアルに演じられます。俳優と声優を両方されている方もいらっしゃいますが、私は声優一本ですね。

ーーいままで演じた中で印象的な役は?

小田 めっちゃいろいろあるんですが...『探偵撲滅』というゲームの「華族探偵」役かなあ。

ーーその理由は。

小田 思いっきり「高笑い」の演技ができたからです(笑)。華族探偵は高飛車なキャラなんですよ。

実は私、ずっと「高笑い」する役がやりたくて...。いろんな声優さんの声を聴いて高笑いのバリエーションを研究していた時期があったんです。

だから華族探偵役が決まったときはテンションが上がりました。

ーー確かに高笑いするキャラっていますね。

小田 突き抜ける高笑い、含みの高笑い。調子に乗ったとき、場の空気を読んだときの高笑いがあって、奥が深いんです。

推しキャラは『ファイアーエムブレム 風花雪月』のコンスタンツェ! 彼女の高笑いには二面性が表現されているんですよ。

あとは『のうりん』の良田胡蝶の高笑いも印象的でした。他にも高笑い推しのキャラはたくさんいますよ。

ーー(グイグイ来る…)他にも印象的だった役はありますか?

小田 もちろん。初めてお仕事をいただいたのが『らき☆すた』のスピンオフ作品で『宮河家の空腹』というWEBアニメです。男の子の役でした。オーディションにカメラが入っていて、度胸がつきました(笑)。

それから『ファントム オブ キル』のミネルヴァ役は.、イベントなどでファンの方々と直接触れ合えて思い出がたくさんある役です。演じ方を考えながらファンの皆さんと一緒にキャラを作っていった感覚があって忘れられないですね。

アニメの演技の醍醐味は「対話」

ーーオフは何をしていますか?

小田 映画を観ています。アメリカのホラー映画『マリグナント 狂暴な悪夢』はおすすめですね。海外ホラーは勢いがすごい(笑)。あとはリズムゲームかな。ひとりで黙々とプレイするタイプのゲームが好きです。

もちろんアニメも。アニメは完結するまで待って一気見する派です。最近は『メイド・イン・アビス』に圧倒されました...。

ーー『ノケモノたちの夜』では、『五等分の花嫁』の竹達彩奈さん、『鬼滅の刃』の小西克幸さんなどの声優さんとも共演しています。

小田 代表作をあげたらきりがないお二人ですよね。憧れの声優さんで、「こんな日が来るんだ...」って(笑)。でも、もちろん収録が始まってしまうとお仕事なので、浮かれてるどころじゃないんですけど。

ーー目標にしている声優さんはいますか?

小田 好きな声優さんと目標にする声優さん、それぞれいらっしゃいます。好きな声優は坂本真綾さん。でも自分が持っている声と演技の方向性とは違います。目標にしているのは井上麻里奈さん、小清水亜美さんに小松未可子さんですね。

井上さんが演じていた『天元突破グレンラガン』のヨーコがすごく好きで...芯があって戦う女性の役。それがいまの目標です。

ーー今回、ハリエットの相棒となる悪魔・モリ―役は森永千才さんです。

小田 収録では森永さんの声の演技を感じて、自分の演技も調整していきました。私はゲームのお仕事を頂くことが多いんですが、アニメの演技の見せ場は、やっぱり対話シーンですね。

ハリエットとモリーの愛情がどんな掛け合いで演じられているか、注目してほしいです。

◆小田果林(おだ・かりん)5月14日生まれ、千葉県出身。アニメ『宮河家の空腹』宮島だいすけ役でデビュー。主な出演作に『はたらく細胞BLACK』血小板役、ゲーム『ファントムオブキル』ミネルヴァ役など。2023年1月スタートのアニメ『ノケモノたちの夜』ではハリエット役を演じる。
▽Twitter @kodomoooo
▽Instagram @karinchanpon

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【放送情報】
『ノケモノたちの夜』
TOKYO MX 毎週日曜日22:00~放送中
読売テレビ 毎週月曜日26:29~放送中
BSフジ 毎週火曜日24:00~放送中

▽第三夜「リバーサイド・マーダー」
1/22(日)22:00-放送

▽公式サイト
https://nokemono-anime.com/

© 星野 真・小学館/ 「ノケモノたちの夜」製作委員会

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