中尾明慶、“銀幕スター”はもう現れない 「私生活をさらけ出すのは普通の時代」

磯部 正和 磯部 正和

近年、俳優業で幅広い役柄を演じ引き出しの多さを見せている一方で、朝の情報番組「プチブランチ」で帯番組MCを務めるなど、多岐にわたる活躍をみせる中尾明慶。屈託ない笑顔で明るいパブリックイメージがある中尾だが、自身のプライベートな面を含め、視聴者に提示していくことへの思いを語った。

パブリックイメージに抗うか、寄り添うか……

2022年はさまざまな中尾を観ることができた。最新作映画『そして僕は途方に暮れる』(公開は2023年)で、藤ヶ谷太輔(Kis-My-Ft2)演じる菅原の友人として、ある意味で“まっとう”な青年を演じたかと思えば、月9ドラマ『PICU 小児集中治療室』では、仕事にシビアで笑わない医師を好演。さらにドラマ『闇金ウシジマくん外伝 闇金サイハラさん』では、シリーズの人気キャラである元暴走族の総長・愛沢浩司として金髪パーマのヤンキー、ドラマ『六本木クラス』では弟気質のチンピラに扮した。

「これまでもいろいろな役をやらせていただいてきたのですが、2022年は月9だったり、人気シリーズだったりと、注目度の高い作品でふり幅の大きい役が重なったので、多くの方に認識してもらったのかもしれません。でも一般的な僕のイメージって、ムードメーカーで和気あいあいとしている感じだと思うんです。そういうイメージを突き詰めるのも大切なことだなと思うのですが、せっかく演じる仕事をしているので、いろいろなキャラクターをできると思っていただけるのは、すごくありがたいです。特に30代半ばを迎えて、40歳以降のことを考えると、いまはとても大切な時期かなとは思います」。

明るく爽やか……というイメージで言えば、2022年10月からスタートした情報バラエティ番組「プチブランチ」(TBS、月〜木、9:55〜)の帯MCという仕事で見せる顔と、映像作品で見せるまったく違うキャラクターとのギャップというのも、ファンにとっては楽しみの一つになっているのではないか。

「その違いが武器になればいいですよね。例えば朝の情報番組で爽やかに『おはようございます』ってやっているのに、夜のドラマでドロドロの役をやったら『面白い』と思ってくれる人がいる一方で、その違和感に『ちょっと……』となる人もいると思うんです。そこをどちらも切り離して観てもらえるかどうかは、自分の技術にかかっていると思うので、頑張ってみたい部分ですね(笑)」。

銀幕スターはもう現れないかもしれない

公私という言葉があるが、俳優業においてのパブリックイメージというのは、演じる役に付随することが多い。怖い役をやれば怖い人、爽やかな人物を演じれば好青年……といったような。しかし、近年は俳優業でも“私”の割合が大きくなってきているという。

「いまってバラエティ番組に出て、自分の私生活を多少はさらけ出すというのは普通になってきていますよね。そうすることで、多くの人に興味を持ってもらうというやり方が多いと思うんです。昭和の時代だと、私生活がまったく想像できない人って結構いたと思うんです。その意味で“銀幕スター”みたいな人は、いまの時代には現れないのかなと思うんです。SNSなども普及して、ファンが求めることも変わってきていますよね。自分としては、大きなスタンスでエンターテインメントを見ていくというか、やれるべきことは全部やっていこうという思いはあります」。

映画にドラマ、情報番組でのMC、さらにはYouTubeと多忙を極めているように感じられる中尾。

「一番忙しいのは趣味ですね(笑)。ゴルフも釣りも、バイクも車も……。僕は休みがいらないんです。小さいころから家にいられない子で、病気になったとき以外、家から出なかったことって一日もないと思います。家族ができてからも、それは変わらないです。先日も休みの日に朝6時に起きて、息子と自衛隊の航空ショーを見に茨城まで行ったんです。まあ、家族は振り回されているかもしれませんが(笑)」。

公私ともに“好き”が溢れ出て止まらないという中尾。

「趣味は全力ですが、もちろん俳優の仕事も大好きなので、こちらも全力です。『そして僕は途方に暮れる』の三浦大輔監督の現場は、本当に大変で苦労も多かったけれど、やっぱり楽しいし“苦”にはならないですね」。

壁にぶち当たったり躓いたりしても「次、次」と切り替えて前に進んできたという芸能生活。「いまがベスト」――そう思いながら30代後半に突入し更新される中尾の“自己ベスト”に期待したい。

映画『そして僕は途方に暮れる』は1月13日より全国公開

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