「デフォルメしすぎるとコントになってしまう」友近、俳優業の難しさを語る 共演の中井貴一は「落語家さんみたいな方」

磯部 正和 磯部 正和

お笑い芸人として多彩を極める友近。一方でコンスタントに俳優業も行い、連続テレビ小説をはじめ、数々の映画やドラマへの出演も重ねている。そんな友近が「とにかく居心地がいい現場なんです」と目じりを下げるのが、武正晴監督の人気シリーズ『嘘八百』だ。本作で友近は、佐々木蔵之介演じる腕利きの陶芸家・野田佐輔の妻・康子を演じているが、最新作『嘘八百 なにわ夢の陣』では、一癖も二癖もあるキャラクターたちが騙し合いを繰り広げるなか、“夫婦愛”という一風違った角度から作品を彩る役目を演じている。芸人として確固たる地位を築いた友近にとって“演じる”という仕事はどんな位置づけなのだろうか――。

中井貴一への憧れ!

骨董品をテーマに、“騙し、騙され”のせめぎあいが心地よい『嘘八百』シリーズ。骨董コンビの小池&野田を演じる中井貴一、佐々木蔵之介はもちろん、森川葵、前野朋哉、宇野祥平、塚地武雅、吹越満、桂雀々ら一筋縄ではいかない俳優たちが軒並み続投。さらに本作から中村ゆり、松尾諭、土平ドンペイ、高田聖子、麿赤児、笹野高史ら目移りするような、俳優陣が続々と登場する。

 友近も「皆さんの演技が面白くて、目が離せなかった」と出来上がった作品を観た感想を述べると、夫役となる佐々木について「毎シリーズ2年ぐらい間が空くので、最初はエンジンがかかるのがワンテンポ遅いのですが、やり取りをしていくうちにすぐに夫婦に戻れるし、その場でアイデアも浮かんできます。蔵之介さんには絶対的な安心感があります」と語る。

さらに中井貴一についても「公私ともに仲良くさせていただいて、よくご飯にも連れて行って頂いています。いつお会いしても面白いお話をしてくださいますし、表情も間もいい。落語家さんみたいな方で、貴一さんの演技を近くで見たくて出演していると言っても過言ではないぐらいです」と尊敬する大先輩であることを明かす。

本業は芸人!でも芝居は今後も続けていきたい!

「全員が真似できない」という達者な俳優たちに交じり、友近自身も強い存在感を出している。芸人としてはもちろん、俳優としても友近を高く評価する映像作家たちは多い。

 「お芝居の仕事は本当に楽しいんです」と笑顔を見せると「でも正解がしっかり出せない」と評価の基準がない世界だけに難しさを感じるという。「お芝居を始めたころは、コントにならないようにしなければと思っていたのですが、あまりに自然過ぎると印象に残らず流れてしまう部分もある。そのさじ加減が難しいですね。デフォルメしすぎるとコントになってしまうし。なかなか答えは出ませんね」。

 「もっといろいろな作品をやりたいし、演じてみたい役もたくさんあります」と意欲を見せる友近。しかし一方で「あくまで本業は芸人なので、そちらに支障があってはいけない。そのバランスはとても難しいですね。でもうまく今後も続けていきたいお仕事ではあります」と意欲を見せる。

 そんな思いのなか、武監督の現場は「とにかく居心地がいい」という。その理由について「リアリティの面白さ」に共感できるというのだ。

 「“人間ってこういうところがあるよね~”というアイデアがとても面白く、撮影中もボソッと言うんですよ。私も結構“あるある”的なことをネタにすることがあるので、その部分で話が合うというか『そうですよね~』となるんです。だからとても演じやすいですし、こちらからも安心してアイデアを出せるんです」。

 この言葉通り、劇中には人間の“おかしみ”が感じられるようなシーンやセリフが出てくる。鋭い人間観察力を活かしたコントを披露する友近との共通点は多いように感じられる。「私も似ているなと感じるところが多いですね。だから武監督の作品って大好きなんです」。

映画『嘘八百 なにわ夢の陣』2023年1月6日より全国公開

おすすめニュース

気になるキーワード

新着ニュース