カットされた白菜は内側から使った方がいいワケ 生命科学に基づいた論理的な解釈

ドクター備忘録

松本 浩彦 松本 浩彦

 「農家から切実なお願い。 カットされた白菜は内側から使ってください!」以前、ある農家が投稿したツイートが注目を集めました。お鍋が美味しい冬。スーパーに行くと、たいてい半分にカットされた白菜が、ラップに包まれて並んでいます。4人家族だと、丸々ひと玉は多すぎます。お鍋に使うなら、半玉が適量でしょう。

 ツイートしたのは、長野県内で無農薬野菜や有機野菜を生産し、全国の家庭に宅配している農家の方でした。曰く「カットされた白菜は内側から使ってください。その方が長持ちします。内側から食べることで外葉に栄養や旨味がとどまるので、最後まで新鮮に美味しく食べられるのです。ぜひ内側からお召し上がりください」

 大きな葉っぱがついた外側から食べていた方がほとんどだと思います。なぜ内側から食べた方がいいのでしょうか。じつは白菜は収穫後も成長するため、外側の葉から、内側の中心部にある「生長点」に向けて、栄養を送り続ける性質があるそうです。

 白菜は収穫されても生きています、収穫されて命の危機を覚えると花を育て、種を作り、次世代へと命を繋げていこうとします。なので、内側の一番真ん中にある、小さい葉っぱの部分にある生長点に向けて、外葉にある栄養をどんどん流そうとするのです。

 内側から食べる、つまり最初に生長点をカットすることで、それ以上は成長できなくなるため、外側の葉の栄養や水分が内側に移ってしまうのを防げます。カットされていない丸ごとの白菜も、まず半分に切って内側から食べる方が良いそうです。

 丸ごとの白菜は新聞紙に包んで冷蔵庫に入れておけば、長期保存も可能ですが、カットされた白菜は内側から使いつつ、ラップにくるんで冷蔵庫で保存するのがベストだそうです。冬には必ず何度も食べる機会のある白菜ですが、今後ぜひこの食べ方を試してみてください。医療とは全く関係ない話ですが、生物の生きる目的は自分の遺伝子を後世に残すことです。その意味では、これも生命科学に基づいた話と言えます。

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