「伊勢守」の「伊」+ 藤原氏の「藤」=「伊藤」…もしかしたら藤原氏一族の末裔かも オズワルド・伊藤の名字のルーツ

森岡 浩 森岡 浩

2022年に開催されたM-1では、敗者復活から圧倒的な票で決勝に登場するなど、すでに実力派の芸人オズワルドの伊藤と畠中。ツッコミの伊藤俊介は女優・伊藤沙莉の兄であることを公表、さらに「蛙亭」イワクラとの交際も公表するなど、話題になっている。

「伊藤」という名字は全国ランキングで第6位。「伊藤」のように下に「藤」がついて「~とう(どう)」と読む名字は、藤原氏一族の末裔であることが多い。

平安時代の朝廷は藤原氏の一族で占められていた。そこで、同じ藤原氏同士で区別するために各家をあらわす「家号」が使われるようになり、これが固定することで名字が誕生した。地位の高い貴族は、自らの邸宅のある場所や建立した寺院などを家号とした。一条に住んでいる藤原氏は「一条」、西園寺を建立した公家は「西園寺」という具合である。

それに対して、中下級の公家や官僚は名乗れるほどの立派な邸宅があるわけでも、寺院を建立するほどの財力もない。とはいえ、「藤原」とは全く違う家号を名乗ってしまうと、藤原氏一門に繋がる家であることか相手に伝わらない可能性がある。

そこで、自らの官職や所領のあった地名と藤原氏をつなげて家号とした。つまり、加賀介という役職についた藤原氏が、加賀介の「加」と藤原氏の「藤」をつなげて「加藤」と名乗った。同じように、斎宮頭となっていた藤原氏は「斎藤」と名乗り、伊勢守をつとめた藤原氏は「伊勢守」の「伊」と藤原氏の「藤」をつなげて「伊藤」を名乗った。現在でも「伊藤」という名字は三重県に圧倒的に多い。

一方、ボケの担当は畠中悠。読み方は「はたなか・ゆう」である。「畠中」は地形由来の名字。田んぼの中に住んでいた人が「田中」と名乗ったように、畠の中に住んでいた人が名乗ったものだ。

比較的西日本に多く、とくに鹿児島県、高知県に集中しており、福岡県や福井県にも多い。また「畠中」は「はたけなか」と「はたなか」の2通りの読みがあり、上位4県のうち、高知県と福井県では「はたけなか」が多く、鹿児島県や福岡県では「はたなか」が多い。全国を合計すると「はたなか」が多く、7割以上を占めている。

また、「はたなか」「はたけなか」は「畑中」と書く名字の方が多く、「畑中」は比較的東日本に多く分布している。

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