白杖の女性と乗り合わせた男性のエレベーターでの謎行動 「次のに乗って」閉ボタン連打→思わず取った行動に称賛「事件が起きる一歩前だったかも」

宮前 晶子 宮前 晶子

「夫とエレベーターに乗ろうとしたら男性に「次のに乗って」って閉められかけたことがある。定員余裕なのに、と思ったらもう1人が白杖の女性だった。「知り合いですか?」「あなたと2人きりになろうとしてますよ」って伝えたら慌てて降りてくれたし男性には舌打ちされた。女性曰く「たまにあること」と」

ゾッとするできごとに遭遇した杏さん(@apricot_candy_a)の投稿に、
「エレベーターに女性1人で乗る時、痴漢が追うようにして乗り込むことがあります」
「エレベーターの密室を狙った犯罪怖い」と密室の危険を指摘する人や、
「弱者を狙う卑劣な行為」
「白杖の女性の、たまにあることに、悲しいやら怒りやら…」
「私も車椅子に乗ってる時に意地悪された事はあるけど、これは怖い」
と怒りをにじませるコメント、
「とっさの神対応素晴らしい」
「事件が起きる一歩前だったかも旦那さんナイス」
と杏さん夫婦の判断力と機転を称える声など、リプライは450件以上。

いつ、どんな状況で、現場に立ち会ったのか、詳しく教えてもらいました。

「おかしいと感じた瞬間に声かけ。そんな人が増えて欲しい」

――エレベーターに乗ろうとした時のできごと、もう少し詳しく教えてください。

「去年の9月頃、とある駅ビル内の隅にある比較的人が少ないエレベーターを待っているときのことです。エレベーター前では白杖の女性→私たち夫婦→男性の順で並んでいたのですが、エレベーターの扉が開くやいなや、男性が真っ先に乗り込んだんです。“あれ?”と違和感がありました」

――男性が先に乗ったエレベーターには、他に誰かいたのですか?

「無人でした。男性が乗った後、夫が余裕を持って女性と私が乗れるように、と外からボタンを押していたのですが、女性が乗り込むと、男性が私たち夫婦に向かって“次に来るエレベーターに乗って”と言いながら、閉ボタンを連打し始めたんです。

“妻が挟まれたら危ない”と思った夫が、咄嗟に足を出して、扉が閉まらないようにしてくれたので開いたままの状態が続きました。私は、というと “定員余裕なのに”と思うと同時に、Twitterで車椅子や視覚障がいの女性を狙った犯罪が話題になっていたことを思い出して。すぐに、女性に“知り合いですか?”“あなたと2人きりになろうとしてますよ”と声をかけました」

――それで、女性がエレベーターから降りて難を逃れたというわけですね。

「女性に声をかけて降りてもらうまでは、そんなに時間はかからなかったと思います。私たち夫婦が一緒にエレベーターに乗っても、私たちが先に降りたら意味がないし、その男性に逆恨みされたら密室で一緒になるのは怖い。一瞬でいろいろ考えました」

――エレベーターを降りた女性とは、何か言葉を交わしました?

「“余計なことをしてすみません”と伝えたところ、“ふたりきりになろうとしたり、エレベーターで触られたりすることはたまにあるんです。荷物を盗られる、白杖を蹴られる、わざとぶつかってくることもあります。声をかけてもらえるのは嬉しいですし、大丈夫です。ありがとうございます”と言われました」

――警察や駅ビルの警備室に伝えたのでしょうか?

「夫と“どこかに伝えた方がいいかな?”とは話したのですが、女性は“実害がないと、どこも動いてくれないんです。大丈夫ですよ”と…。このようなケースがあると知って、対応できる人が増えたら、と思い、今回ツイートしました」

――ツイートには7万件のいいねがありました。

「実際に何かしらのハンデを持った方や、その身内の方から“うちもこんなことがあった”という被害報告が結構あったので怖くなりました。また、“文章が分かりにくい”“何が問題なのか意味が分からない”“男性が悪いとは限らない”という意見を述べる男性アカウントも多かったのですが、それらのコメントに対しての“被害者になるという視点がないからピンと来ないのでは?”という指摘には納得しました」


――自分にも起こり得ると捉えるか、捉えないか、ということですね。

「女性の読み手は“エレベーターで無理に2人きりになろうとする男性=怪しい”“エレベーターの中で何をされるか分からない”“ほかに人がいても、怪しいと感じる男性とは密室で一緒になりたくない”と繋げて考えます。けれども、男性の読み手のなかには、“急いでいただけかもしれないのに犯罪者扱いする方がおかしい”“コロナ禍で密になりたくなかっただけかもしれないのに警戒し過ぎ”“なぜ一緒に乗り込まずに女性を降ろすのか理解できない”と考える人もいるようです」

杏さんの行動に対して、「その想像は出来なかった…」「知らない世界やった」「世の中には悪意を持った人が普通の顔をして過ごしていると改めて認識」などとツイートに感謝の意や、「自分も行動しよう」「娘に気をつけるように言います」を述べる人も。どんなに用心しても、常日頃危険にさらされている人、自分よりも弱い人に悪事を働こうとする輩がいることがわかります。

「“車椅子や視覚障がいの女性は狙われやすい”という事例を知っているだけで、そのときの夫や私のように咄嗟に動ける人も出てくると思います。ハラスメントやさまざまな暴力、犯罪行為が起きたとき、ただ傍観するのではなく、ひと声かけることができる人が増えたら…と願っています」

■杏さんTwitter @apricot_candy_a

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