「手書きの文字から、その人が認知症かどうかわかる」と話すのは、筆跡カウンセラーとして20年以上活動してきた石崎白龍さん。例えば「口」という文字を書いた場合、下が閉じていない人には高い確率でふたつの共通項があるという。ひとつは、年齢が60歳以上であること。そしてもうひとつは、「最近物忘れがひどくなって困る」と訴えていることだ。その知見を踏まえ、石崎さんは「文字を書くこと」が認知症の発見、予防、改善につながると確信。脳神経外科医の監修の下で本を出版し、講演にも積極的に取り組んでいる。
石崎さんが昨年出した著書「書くだけで発見・予防・改善!さよなら認知症文字トレ」(徳間書店)には、「文字トレ診断」が多数収録されている。冒頭で紹介した「口」のほか、「中」は【怒りやすいかどうか】、「目」は【物の置き忘れ】、「真」は【会話中にアレやコレが増える】など、文字の書き方で認知症につながる様々な兆候がわかるというのが、長年の研究から導き出した石崎さんの持論だ。
「文字が美しいかどうかではなく、私の指導はトメ・ハネ・ハライや間隔、終筆をきちんと閉じるといった『書き方』を意識することの大切さを重視しています」と石崎さん。「意識することで集中力が増しますし、脳や気持ちもグッと若返るんですよ」
石崎さんは書道教室を30年以上営むかたわら、筆跡カウンセラーとしての活動にも力を入れる。これまで10万人以上の手書きの文字を見て、心理状態などを読み解いてきたという。その経験から、特に大人の文字には「認知症のサインが表れる」ことを確信。「快適なシニアライフを送っていただく一助として、集中して文字を丁寧に書くという“文字トレ”を試していただきたい」と話している。
「書くだけで発見・予防・改善!さよなら認知症文字トレ」は税込1485円。