日本と欧米の出産、育児環境の違いがSNS上で大きな注目を集めている。
きっかけになったのは一児の母で、現在妊娠中というかなかさん(@KanakaTsubaki)が投稿した「義母と話してると『私も無痛分娩やったよ』とか『液体ミルク懐かしいわー!便利よね』とか本当に育児してたの30年前ですか?ってワードが出てくる。30年前義実家はイギリスで子育てしてたんだよね。つまり今の日本って30年前のイギリスと同じなのでは…と思うと…」というエピソード。
無痛分娩は日本ではまだまだ少数派。液体ミルクもここ数年でようやく注目されるようになったが、それらがイギリスでは30年も前から普及していたという驚きの事実。日本と欧米の出産、育児の環境には果たしてどのような違いがあるのだろうか。
かなかさんの投稿に対し、SNSユーザー達からは
「私も30年ほど前のイギリスで生まれました。母も固形のミルク与えていたそうです!イギリス人からしたら私たちは外国人なのに、妊婦検査も出産も全て無料でした 日本は本当に遅れていると思います」
「我が母も30年前にアメリカで出産したけど、ほとんどの人が無痛分娩を選ぶのが普通で、液体ミルクも普通。子育てに関してはアメリカはめちゃくちゃ楽だったわー!って言ってた。産後3日とかで退院も普通だけど、向こうの人は体格いいからか産後すぐでもピンシャン歩いて退院してくって(個人の所感です)」
「技術はさておき、無痛分娩などもってのほか!痛みを感じて産め!!!みたいな人々が多いというのが日本が進んでいかないひとつかと」
など数々の共感の声が寄せられる一方
「無痛分娩と液体ミルクは確かに当たり前のように存在していますが、それ以外のほぼ全ての点において日本の出産における医療ケアの方が、イギリスより遥かに優れていると思います。個別の良く見える点だけを取り出して誤解して欲しくないです。英国で2回出産してますが本当に大変でした」
「2年前アメリカで出産しましたが、無痛分娩で初産のため入院は2泊3日、ひたすら授乳のトレーニング。産後1ヶ月は外出を控えて入浴禁止(シャワーOK)、赤ちゃんより重い物を持たないようにとの指導でした。便利なものもたくさんありますが、母乳神話も健在です。思想は意外と古風だなという印象でした」
など比較に慎重な判断を求める声も寄せられた。
かなかさんにお話を聞いた。
ーーお義母さんの話を聞いた時のご感想をお聞かせください。
かなか:無痛分娩は現在でも日本では6%ほどで普及率が低く、「無痛分娩で産みたい!」となると病院を探さなくてはなりません。それがイギリスでは30年前に当たり前に「無痛分娩にするよね?」と言われたそうで、そんなに早い時代に普及していたんだなぁと驚きました。
液体ミルクに関しては日本ではつい3年ほど前にようやく解禁になったものなのですが、それを「懐かしい」と言っているのも驚きました。
ーー現在の日本の出産、育児環境で遅れているところ、改善してほしいと思われることはありますか?
かなか:良くも悪くも「母親はこうあるべき」という謎の価値観があるように思います。「痛みを感じてこその出産」とか、「母乳で育てるのが愛情のある母親」とか「早くから子供を預けて働くのはかわいそう」などです。
リプライでも母乳のメリットをたくさん話してくださっているように、たしかに母乳には多くのメリットがありますが、母乳がうまく出ない体質の方や、子供が拒否する場合など、母乳育児がうまくいかない人に対して「それでも母乳の方が良い」と追い詰める必要はないと思います。
粉ミルクや液体ミルクの容器にも、おそらく表示を義務化しているのでしょうが「母乳は赤ちゃんに最良の栄養です」と書いてあり、自分が母乳が出なかったら追い詰められていただろうなと思います。私は完全母乳で子育てをしましたが、それに対して「それでこそいい母親」と言われたことがありモヤモヤしていました。
家庭によって、子供によって合う育児方法は違うので、「これが正解」を押し付けるような価値観は無くして「それも正解」になるといいなと思います。
ーー今回の反響に対するご感想をお聞かせください。
かなか:無痛分娩で生まれたという方も多くて驚きました。当時の普及率から言うとかなりレアタイプなので、当時無痛分娩を選択なさったかたはどんな流れで選択するにいたり、どんな反応があったのか伺ってみたいなぁと思いました。
また個人的には精神論や認可速度の話をしたつもりだったのですが、日本の医療は遅れている、という話をしていると思われたのか「日本の医療だって負けてない!」というコメントを多くいただき、確かに日本は妊娠出産に対してアプローチが丁寧なところや、社会保険などはいいところだなぁと再認識しました。
◇ ◇
基本となる条件が異なるので簡単な比較はできないが、欧米の出産、育児環境が日本にない良い要素を持っていることは事実だろう。「日本も素晴らしい」というような無意味な対抗心は抜きにして、どういった施策を講ずることが母子にとってより良いのか考えられる柔軟な思考が少子化著しい日本に必要だと思うのだがいかに。
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