「親の介護」は突然やってくるから…きょうだい間で事前に話し合った、ひとみさんのケース 十数年後の「未来」を想像しながら議論

長岡 杏果 長岡 杏果

「親の介護」は突然やってきます。兄弟・姉妹がいれば協力して取り組むことができますが、分担などをめぐりトラブルになるケースもあるといいます。ひとみさん(40代・北陸在住)は、親が元気なうちに、きょうだい間で親の介護問題に話し合いを済ませることで、将来の不安を軽くできたといいます。話を聞いてみました。

まだまだ現役さながらの両親だけど…

ひとみさんは姉弟を含む3人きょうだいの次女として産まれたそうです。それぞれが20代で結婚し、自宅を離れて生活をしています。一方、ひとみさんの両親は60代ですが、定年退職後の現在も、まだまだ再雇用で活躍しているそうです。

祖父母も健在で、両親の介護は必要のない状態。しかし、老後の介護問題についてはひとみさんが30代のときに、お互いの配偶者を交えてきょうだい間で話し合いをしたそうです。

「親の老後問題は今すぐではないけど、いずれ必ず起こることです。突然倒れた時では体制を整えることは難しいし、分担が偏ると不満がたまってしまう。だから、早いタイミングで話すことにしました」と、ひとみさんは話します。

実際に介護が必要になるのは十数年後のこと。話し合いの場では、それぞれの家庭の「未来の状況」を考えながら議論したそうです。

たとえば、姉夫婦は姉が現在専業主婦であり、結婚後すぐ子どもが産まれたので、介護が必要な十数年後には子どもたちも手が離れている状態になりそうです。また姉は結婚前、介護職をしていたことから、入浴介助など仕事の経験を生かしたケアを中心に行うことになったといいます。

また、弟夫婦はひとみさんと年齢が離れているため、十数年後もまだ学生の子どもがいる状態だと言います。そのため、洗濯や買物、手が空いた時間があれば食事介助をお願いすることにしました。義妹は当時専業主婦でしたが、子どもが幼稚園に入るタイミングで復職する予定があったため、育児の負担にならないような程度で協力をお願いしたそうです。

ひとみさんはというと、子どもたちは現在高校生だったので、十数年後には子育てのことは考慮しなくてもよさそうです。元々デスクワークを得意としてきたことから、各種制度の申請や連絡係を担うとともに、両親の生活に必要な経費を2家族より多く負担することにしたそうです。

お互いがいい関係で親を支えるために

もともと、きょうだい間で親の介護について話し合いをしたいと最初に提案したのはひとみさんでした。そのきっかけは、「母から『介護が必要になったら下の世話は娘にしてほしい』と言われたから」だったそうです。

実はひとみさんは30代の時にヘルニアの手術を行っており、力のいる作業はできない状況にありました。母親の言葉を聞いて、自分がどこまで両親の介助ができるか不安を感じたといいます。

「腰を壊してしまった私が、実際の介護をするにはどうしても限界がある。だから、きょうだいの間で事前にお互いができることを確認しておきたかった」と話します。

なお、介護の問題は、それぞれの配偶者の親にも起きうることなので、事情が変わったときはお互いに連絡を取り合うことにしてあるそうです。

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