「SNS使いスタンガン強盗」「スクランブル交差点でロケット花火」渋谷の路上で相次ぐ事件…「警察官の数は足りているか」元刑事が指摘

小川 泰平 小川 泰平

 東京の繁華街・渋谷といえば、10月末のハロウィーンになると若者らが大挙して押しかけることで全国的に知られ、4年前には暴動事件にまで発展したことが記憶に新しい。今年のハロウィーンで大きな事件は発生しなかったが、11月も半ばに入り、「渋谷の路上」で起きた若い世代による事件が相次いで報じられた。「スタンガン強盗」と「スクランブル交差点の花火」だ。元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏が16日、当サイトの取材に対し、この2例についての見解と共に、別の視点で明らかになった問題点も指摘した。

 12日午後1時ごろ、渋谷・道玄坂の路上で、若い男が20代の女性にスタンガンを押し当てるなどし、この女性が所持していたショルダーバッグを奪って逃走しようとした強盗事件が発生した。近くにいた男性3人が女性の叫び声に気づき、逃げる加害者の男を取り押さえた。被害者の女性は背中と腕にケガをし、取り押さえた男性のうち20代の会社員も負傷したが、いずれも軽傷だった。強盗致傷の疑いで逮捕されたのは静岡県裾野市の会社員・佐藤紀裕容疑者(27)。SNSを通じて知り合った女性と渋谷で初対面した後、路上強盗に及んだという。

 小川氏は「SNSで知り合った人と初めて会う時の心得」を説いた。同氏は「今回、被害者の女性が昼間の時間帯に、人通りの多い場所で会う約束をしたのがよかった。夜の遅い時間帯で人のいない場所だったり、相手の車に乗り込んだりすると危険です。時間帯と場所に注意をすることの重要性が今回の事件で改めて分かった」と強調した。

 もう一つの事件は、14日午後10時ごろ、JR渋谷駅前のスクランブル交差点で発生。歩行者が赤信号の状態で、車が通る交差点の真ん中で男性がロケット花火を約50発も打ち上げた。時には信号待ちをする人たちに向けて花火を水平に打っていたという。男は女性警察官に制止されて歩道に押し戻される際、拡声器で「分かってんのかぁ!」などと絶叫。駅前の交番に連れて行かれた男は30代で、調べに対して「目立ちたいからやった」「ただ、叫びたかった」と動機について話しているという。

 小川氏は〝スクランブル交差点の花火男〟について「道路における禁止行為を破った道路交通法違反だけでなく、人に向けて花火を発射している。けが人がいれば『傷害罪』、けが人がいなくても『暴行罪』になる可能性もある」と指摘した。

 その上で、同氏は「この男の身柄を確保したのは女性警官1人だった。渋谷駅前の交番は全国で10本の指に入るくらいに忙しい交番で、警察官の数も多いはずだか、その時、他の警察官は別の場所で何か取り扱いがあったのかもしれない。事件とは別の視点になるが、警察官の数が足りないということも浮き彫りになった。いくら警察官とはいえ、女性ですから、凶暴な男を相手に1人で立ち向かうのには危険が伴う。この女性警官は勇気があったが、止めに入って負傷することもある。このような特殊な場所では警察官の数が必要になる」と課題も挙げた。

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