池袋・サンシャイン乱闘に新事実 チャイニーズ・ドラゴンではない「別の中国系グループ」の存在…元刑事が独自取材から指摘

小川 泰平 小川 泰平

東京・池袋の高層ビル「サンシャイン60」内のレストランで16日、約100人が乱闘騒ぎを起こした事件を受け、元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は一夜明けた17日、その会場にいた関係者を取材し、当サイトに対して現場の生々しい様子を証言。さらに「新たな事実」がある可能性を示した。

 16日午後6時半ごろ、「サンシャイン60」の58階にあるフランス料理店の店員から「客同士100人くらいがけんかしている」との110番通報があり、男性1人が頭に軽傷を負い、病院に運ばれた。警視庁巣鴨署によると、団体客1組約100人が午後6時ごろから店で飲食を始め、突然殴り合いになったという。署員が現場に駆け付けると、グループの大半は立ち去っていた。貸し切りで他に客はおらず、店員にけがはなかった。店内は粉々に割れたビール瓶やグラスが散乱し、ドアも壊れていたという。同署では仲間同士のトラブルとみて、傷害や器物損壊の疑いで事情を聴いている。

 その後の調べで、この団体客は警察庁が「暴力団に準ずる反社会的勢力」と位置づける準暴力団の一つで、中国残留邦人の子や孫らが中心となって構成されている「チャイニーズ・ドラゴン」のメンバーらという。現場は池袋駅から徒歩約10分の場所にある繁華街。

 小川氏は「通常、中国系の人たちはホテルとかではなく、大きめの中華料理店など自分たちと関係の深い飲食店を貸し切ってやることが多いが、今回は『放免祝い』、つまり出所祝いで、懲役10年以上服役した者が今年8月に出所したということで、その祝い事をしていたと話を聞いています」と説明した上で、「報道では『チャイニーズ・ドラゴンの出所祝い』とされているが、私が関係者に話を聞いたところ、元々、宴会をしていたのは東京・北区の不良中国人グループで、そこにドラゴンのメンバーが来てトラブルになったということです」と独自取材に基づいた「別グループの存在」という新事実の可能性を指摘した。

 さらに、小川氏は「私が話を聞いた者は『最初は双方、落ち着いて話をしていた。いきさつは分からないが、若いメンバー同士でもめ始めたようだ。いきなりガシャンという音がしたので、見たら、ビール瓶で頭を殴られている者がいて、その後で、フォークやナイフが飛んできた。その後はフォークやナイフで襲うなどして乱闘していた』と証言していました。事前に凶器を用意していうわけではなく、現場にある物を使って乱闘していたという話を聞きました」と詳細な状況を報告した。

 同氏は「負傷者1名となっているが、実際は10人以上のケガ人がいるということです。警察署員が駆け付けたときに残っていた10人ほどの中で1人が負傷していて救急車で搬送されたが、他の者は歩けないほどのケガはしていなかったので、そこで三々五々、逃げて、自分たちで病院に行ったり、治療したという話を聞いています」と補足した。

 事件の背景について、小川氏は「通常でしたら、『反社』や『反社と関係する者』はこうした宴会を開くことはできないが、今回、宴会の申し込みの形態がどのようなものだったのか。いわゆる『反社条項』や『暴排条項』があったのか。銀行に口座を作ったり、ゴルフをする時などに『私は反社ではありません』という条項にチェックを入れますが、予約する際にそのようなものがあったか」と指摘。その上で、同氏は「私が聞いた話によると、もともと放免祝いをやっていたのはドラゴンではなく、中国系の不良グループだったという。このドラゴンについても、実際、日本に何人いるかは警察も把握しきれていない。広域暴力団と違って組織がしっかりしていないため、メンバーの出入りが激しく、本格的に活動している人のことは分かるかもしれないが、そうでない者も多くいる。しかも全国に散らばっていて、暴力団のような名簿などがないものですから、実態は分からない。また、中国系の不良の中にはドラゴンではないにもかかわらず、ドラゴンだと自称する者もいると聞いています」と解説した。

 今後の捜査について、小川氏は「防犯カメラはもちろんですが、逃走する者の中にけが人がいたわけですから、エレベーターの中などに血痕が間違いなくあったと思います。また、指紋や足跡もあるので、そういった証拠も警察は採取していると思います」と付け加えた。

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