「怠けてないよ!」 脱走繰り返すナマケモノ  飼育員の隙突く頭脳犯 外に出たい?…一部始終とらえた動画に「結構速い」「活動的」

茶良野 くま子 茶良野 くま子

樹上でのんびり暮らし、動いてもかなりスローなイメージがある「ナマケモノ」。ところが、神戸の動物園で展示エリアからたびたび「脱走」を図るアクティブなナマケモノの動画がツイートされ、「活動的ですね」「ナマケモノとは思えない」と反響が寄せられました。撮影した駱駝亭こらくさん(@RakudateiKoraku)は「ナマケモノはそもそも怠けていません!」とキッパリ言い切ります。こらくさんに聞きました。

動画は神戸どうぶつ王国(神戸・ポートアイランド)で先月撮影されました。熱帯雨林のジャングルをイメージした水辺、植栽のエリアでフタユビナマケモノ3頭が交代展示され、プールの中央に配した木を自由に行き来する様子を観察することができます。動画では、メグ(14歳メス)が木から降りてプールに入り、観覧通路側の岸辺に上がろうとしたところをスタッフに身柄を確保される様子が映っています。ほかに、ミカン(6歳オス)、シワス(5歳メス)がいます。

―ナマケモノが脱走するとは。

「これまでもプールに入って脱走を試みるところや、身体がビショビショに濡れた姿は何回も目撃していたのですが、脱走する過程を動画でとらえたのは初めてでした。この子がよく脱走するのはよく訪れている方や飼育員さんの共通認識かと思います」

―地上で排泄するためではない?

「ナマケモノが用を足すのは野生下で2週間に1回、飼育下では数日~1週間に1回程度です。それにトイレのために水中には入りません。外に出たいのだと思います」

 ―脱走を繰り返すメグは特別活発なのでしょうか。

「メグは活動の幅が広い印象があります。好奇心が強く、とてもアグレッシブで来園者に近づいてくることも。王国では3頭を時間をずらして展示し、ハンドフィードをするので活発な姿を見られる可能性が高いです。また、同じエリアにはマーモセットやコンゴウインコもおり、やりとりが見られることもあります。ほかの個体も活発な時は活発ですが、同じメスのシワスは来園者に近づくような行動はあまりしないです。オスのミカンはいつもすぐに寝てしまい起きないので、ナマケモノのイメージには近いかもしれませんね」

脱走しようとするたび、スタッフに確保される姿に「複雑な気持ちになる」とつづったこらくさん。こらくさんは「メグは外に出て探求したいけれど、安全管理上、彼女の希望をかなえることは難しいんだと思います」と話します。「メグが観覧通路側に出た後、どういう行動をするのか観察してみたいですね」と、“泳がせ捜査”を見守ってみたい願望も…。

 

王国の飼育担当・萩原凜太郎さんによると、プールの対岸側に渡る辺りでスタッフに確保されるため、観覧通路に入りこんだことはないそう。「展示エリア内に常駐するスタッフは、何かあればすぐに対応できるようにしています。メグはスタッフの様子をチラ見して、接客中などわたしたちの隙をついて行動しているようで…」となかなかの頭脳犯ぶりも。

プールは水深20センチ程度と浅く安全で、展示場所にはヒーターも設置。動物との近さが魅力の展示ではありますが、ナマケモノはかなり歯が鋭いのだそう。来園者がナマケモノに触らないよう、様子を見ながら木の配置も工夫しているそうです。

動画をツイートしたこらくさんは関西を中心に各地の動物園を訪問し、多くのナマケモノに会っています。

「ナマケモノの運動能力は驚くべき高さだと思います。木にぶら下がって身体を持ち上げたり、広いギャップも手足を伸ばして渡っていく姿はスリリングですし、歩くスピードは結構速いと思います。謎が多い動物で、好きな食べ物は個体ごとにかなり異なり、偏食も多いです。メグを通して、『怠けてないナマケモノがいた』ではなくて、『ナマケモノは怠けてないよ』と知っていただけるとうれしいです」と話してくれました。

=画像はすべて駱駝亭こらくさん(@RakudateiKoraku)提供=

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