「ビフィズス菌」と「乳酸菌」のはたらきに違いがあることをご存じでしょうか?体には良さそうと思っていても「そこまでは」という人がほとんどかもしれません。このほど「江崎グリコ株式会社」では首都圏、関西圏に住む20代から60代の男女3000人にヨーグルトの喫食実態調査を実施。その結果、何と8割の方が両者の違いを知りませんでした。
健やかな毎日、豊かな人生を願う「江崎グリコ株式会社」では「タンサ脂肪酸プロジェクト」を推進。その活動の一環として今年の8月から9月にかけて、首都圏、関西圏の20代から60代の男女3000人を対象にヨーグルトの喫食実態調査を行いました。
このプロジェクトは、体脂肪の低減と基礎代謝の向上に寄与する腸内細菌の代謝物「タンサ(短鎖)脂肪酸」のはたらきを広め、腸からの健康生活習慣を啓発することを目的としたもの。グリコでは「タンサ活」という造語をつくり、力を入れています。
さらに言うと「タンサ脂肪酸」とは、ビフィズス菌などの腸内細菌が水溶性食物繊維やオリゴ糖などをエサにしてつくる腸内細菌代謝物のこと。近年の研究で「体脂肪の低減と基礎代謝の向上など抗肥満作用」をはじめ、免疫やストレス反応にも関与することが明らかになっています。
調査の結果、興味深い実情が見えてきました。そのなかのひとつが「乳酸菌」と「ビフィズス菌」のはたらきの違い、についてです。日常的にヨーグルトを食べている人でも2つの違いを理解している人は23.8%どまりだったそうです。つまり、ヨーグルト好きでもほぼ8割の人が違いが分かっていないことが浮かび上がりました。「ボーっといきてんじゃねーよ」とチコちゃんに叱られそうです。
しかし、わたしなんかにすると、むしろ23.8%の人が違いを知っていたことに驚きを覚え、日本人のなんて凄いことよ、と思いますが、これを機会に少し勉強しておきましょう。グリコの担当者によると、こうです。
「乳酸菌もビフィズス菌も同じ善玉菌ですが、もちろん、全くの別物で、すむ場所、役割も異なります」と切り出しました。ともに善玉菌で体にいいことぐらいは分かっていましたが…。では具体的にはどう違うのでしょうか。
「まず乳酸菌は栄養分の吸収と輸送を行う”小腸” を中心に生息し、主に乳酸をつくるのに対し、ビフィズス菌は水分やミネラルを吸収して便をつくる役割を持つ”大腸”に生息して主に乳酸や酢酸をつくります。ビフィズス菌は腸内細菌の約10%(成人の場合)を占め、乳酸菌の100倍以上多く、からだへの影響はビフィズス菌の方がより大きいと考えられています」
なるほど、両者の違いがある程度分かったところで、再びアンケート結果に話を戻すと、以下のような興味深い結果が出ました。
・「ビフィズス菌入りヨーグルト」を摂取している人は49.4%。首都圏女性30~60代では6割超
普段食べているヨーグルトを聞いたところ「ビフィズス菌入りヨーグルト」は49.4%、「乳酸菌のみ」は78.1%でした。そのうち「ビフィズス菌入り」喫食者は男性42.3%、女性56.5%と女性が多く、特に首都圏女性30~60 代は6割を超えました。
・日常的にヨーグルトを食べている5人に1人がビフィズス菌×水溶性食物繊維で、いわゆる「タンサ活」を実践
「ビフィズス菌入りヨーグルト」と、ビフィズス菌のエサになってタンサ脂肪酸をつくり出す「水溶性食物繊維」を含む食物を合わせて喫食している人を算出。これを「タンサ活」実践者として調べたところ19.1%(男性13.1%、女性25.1%)でした。日常的にヨーグルトを食べている人の5人に1人、女性では4人に1人が「タンサ活」を実践していました。
・「タンサ活」している人の約7割は知らず知らずに実践中!?
タンサ脂肪酸について知識がある人はまだ少なく、全体では22.0%。タンサ活実践者でも31.6%で、残りの人は意図せず「タンサ活」を実践しているという結果になりました。
・20、30代「タンサ活」男性のヨーグルト喫食目的は、ダイエットや抗肥満の意識が高い
20、30代男性は喫食目的が「ダイエット」「内臓脂肪を減らす」「代謝をよくする」が全体より高くなりました。さらに「タンサ活」実践者の20、30代男性では、この3項目が全体より14.9~34ポイント高い割合となり、またコロナ禍前に比べて「ダイエットのためにヨーグルトを意識して摂取するようになった」は全体より20ポイント以上高くなりました。
腸内環境を整える「タンサ活」を推奨するグリコではアドバイスとして「ヨーグルト購入時に生きたまま腸に届き、タンサ脂肪酸をつくるビフィズス菌が入ったヨーグルトを選ぶことがまず大切」と話し「菌を生きたまま腸に届けるという観点でいえば、ヨーグルトは、消化液の影響を受けにくい食後に食べていただくか、ほかの食べ物と合わせて食べていただくのがより望ましい」としています。
もちろん、乳酸菌は乳酸をつくることで腸内を酸性にし、悪玉菌の繁殖を抑え、腸の働きを活発にしてくれるとのこと。ビフィズス菌と乳酸菌の違いはあれど、バランス良く摂取することが大切なのでしょう。