ゴミ収集場で捨てられていた2匹の金魚「飼えないならお店に返して」「命だよ!?」 保護して「金魚救い」した飼い主の切実な訴え

中河 桃子 中河 桃子

「ゴミ捨て場で捨て金魚発見。飼えないなら金魚すくいすな!弱ってたけど生きてたので保護しました」とツイートしたのは会社員のessjayさん(@namastie)。

夏祭りを彷彿とさせる透明のビニール袋に入った2匹の金魚の写真が添えられており、その背景はなんとゴミ捨て場…。どのような状況で発見し、金魚がどうなったのか? 投稿者に聞きました。

命を軽んじた行為に対して、
「金魚すくいで取っても飼えないならお店に返してほしいです。私も駐輪場で自転車のハンドルにつけっぱなしの子達を保護したことがあります」
「もう金魚まで捨てられるのか、、命だよ、命。なんか、、言葉にならないなぁ、、。捨てた貴方、貴方が家族にいらないって言われてゴミ箱に捨てられたらどうする?聞いてやりたい」
「幼少の頃は、金魚すくいや緑亀すくいやヒヨコすくい等を見かけました。命を娯楽に利用する風習が残っているのは、悲しい事です」
といった悲しみの声が次々。

そのまま放ってはいけないとessjayさんは、「金魚の飼育は子供の時以来なのでネットで調べました。出来る限り大切に育てます。金魚さんのお水用意するだけでも手間取ってますが…。見守っていただければ幸いです」とし金魚を保護。

essjayさんに詳しいお話を伺いました。

「最後まで飼えるかどうかしっかり考えてほしい」

――どのような状況で金魚を見つけたのですか?

「会社へ出勤する途中の昼前に、東京都目黒区のごみ収集場所で見つけました。指定場所の歩道上にガードレールが設置されていて、そのポールに引っ掛けられていました。

前日に近所でお祭りがあったのですが、おそらく金魚すくいで持ち帰るための袋に入っていた金魚は、生きているか死んでいるかわからなかったので、恐る恐る近づいて確認してみました。2匹とも生きているようだったので、急いで会社に行ってハサミを取ってきてから取り外し、会社に連れていきました」

――そのときは悩まれずに…?

「まずはとにかく2匹の命を救いたくて持ち帰りました。子供の頃は家に金魚がいましたし、飼育が可能であるだろうという事も頭の中にあったと思います。ただ実質的に自分で飼うのは初めてで。正しく飼育できるか不安もあったため、ツイートでは「できるだけ大切に」と説明させていただきました」

――捨てられていた金魚を見た時の心境は?

「当たり前ですが、生き物を生きたまま捨てるなんて悲しいしショックでした。この子たちが必ずしも捨てられたかどうかは定かではありませんが…ゴミ収集場所で見つけたためそう判断してしまいました」

――飼育前に用意されたもの、調べたことは?

「金魚の飼育に必要なものと、ハピさんとラキさんの体が弱っていたので、同じような状況の子をネットで調べて、何かの病気なのか、何が原因なのかなどを確認しました。

少し調べただけですが、水の温度差や水質の悪化による体調不良だと思いました。この子たちの体調回復のために、引き取った当日に、水槽、餌、カルキ抜き剤、水草、金魚が元気になる塩浴用の塩を買いました。調べてわかったのですが、塩浴とは、金魚の元々の体内の塩分の濃度と飼育する水の濃度を近づけて自然治癒力を高めていく方法だそうです」

――2匹を保護した後の様子は?

「2匹を観察していると、それぞれ違う症状であること、感染性の病気の心配もあって、水槽を分けることにしました。今はどちらの水槽も水に対して塩を0.5%の濃度に設定して、塩浴をしています。その後、片方のラキさんの状態がよくなったので徐々に普通の水に戻していく予定で、もう片方のハピさんはまだあまり良くないのでもう少し塩分濃度を上げてお休みさせる予定でした」

――金魚にハピさんとラキさんって、名前をつけられたんですね。

「ハピさんと、ラキさんです。名前の由来はハッピーとラッキーです。この騒ぎになる前は私のアカウントは20人しかフォロワーのいない無名アカウントでした。それがどこかの発信力のある方々にこのツイートを見つけて頂いて拡散して頂いたことによって、たくさんの人から応援してもらうことができ、私もこの子たちも「ハッピー&ラッキー」だなぁと思ったこと。

何とか治癒してもらって本当に「ハッピー&ラッキー」な子たちになってもらいたい、という思いから名付けたのですが、保護してから約1週間経った17日朝にハピさんが亡くなってしまいました。なんとか救ってあげたくて、いろいろと調べてはいたのですが…やはり暑いなかで放置されてしまった影響もあったのではないかと思います」

――世の中にはたかが金魚、たかが金魚すくい…と考える人もいると思いますが、生き物を飼う上で大切にしてほしいと思われることは?

「生き物を飼う前には、自分だけじゃなく、家族や周りの人ときちんと相談して、最後まで飼えるかどうかしっかり考えてほしいという事。やむを得ず飼う状況になっても、生き物を簡単に捨てるという判断をしないでほしいです。周りに相談したり、ネットで調べてみたり、やれることはあると思うので。

金魚のほかに、里親サイトを介して出会ったパピヨンのナナちゃんと8年一緒に暮らしています。当時から一人暮らしだったため、飼う前に母、妹には“何かあったらよろしくね。”とお願いしていました。

今は犬好きの友達とも冗談半分でそんな話をしていますが、もし実際に何かあった時は、相談できる人などに引き取りの相談をすると思います」

◇ ◇

金魚を捨てる行為に批判的な意見が寄せられる一方で、同様に多数にコメントされていたのが
「小さな命,大切に!保護してもらえて良かった。ネ!」
「育ててくれてありがとう」
「(金魚を)救ってくれてありがとう」
「金魚さん救われてよかった⸜( ´ ꒳ ` )⸝♡︎私も、よく金魚すくいで見かける小赤という金魚、飼ってました。エサをあげるときに寄ってきたりして、かわいかったですよ。どうか、大切に飼ってあげてください」
といった感謝や、安心する声も多数寄せられていました。

essjayさんは「ツイートした当初は腹が立ちました。でもどこかのお子さんが勝手に金魚を連れて帰り、親に怒られ、困った挙句、泣く泣くガードレールに…みたいなこともあるかもしれません。様々な理由はありますから、飼えなくなった人を頭ごなしに責めず、協力し合える社会になっていってほしいと思います。

そして、ツイートにコメントをくださった沢山の方々の優しさや思いやりは確かで、それに触れる事ができた事を本当に嬉しく思っています。それもこの子達のおかげですね。本当に感謝でいっぱいです」と話してくれました。

犬や猫などの動物に比べて、金魚は表情などがないため罪悪感がわかない人もいるかもしれません。もしかしたら誰か飼ってもらえたら…という思いがあって、そこに置いたのかもしれません。

しかし、一度飼ったり、拾ったりすれば、どんな生き物であったとしても、命を守り、育てるという責任が伴います。金魚すくいであれば、すくっても持ち帰らないという選択肢もあります。育てられなくなった場合は知人や専門店などに相談して、引き取り手を探すことを、行動に移すことが大切です。

また、金魚をはじめとする観賞用や、外来種の魚類を川や海に放流することは、地域の生態系が損なわれてしまうので、「広いところへ」なんて気持ちで、してはいけないということもお忘れなく。

essjayさんのTwitterアカウント:@namastie

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