ネットで買ったオモチャの拳銃が、「本物」の拳銃だった。そんなウソのような本当の話で、警察が回収を進めています。警察が回収を進めているのは、「スカイマーシャル」と呼ばれる中国製の玩具銃で、金属製のパーツが使われています。警察庁は9月5日、スカイマーシャルについて全国の警察に回収を通達を出し、インターネットの販売履歴から作ったリストにもとづいて、各都道府県警察が直接、購入者に連絡を取っているといいます。購入者からはTwitterで「我が家にも警察官2人が来ました」「警察署に提出してきました」といった報告が相次いでいます。漫画「GANTZ」の作者、奥浩哉さんも「警察から電話で、このオモチャ回収しに来るそうです。ううう…気に入ってたのに…」と嘆きのツイートをしています。スカイマーシャルを警察に提出したローザ(@7pp2htgnjw3ar5r)さんや警察に聞きました。
Amazonで4000円 金属パーツ多用し、重量感あり
兵庫県警薬物銃器対策課によると、スカイマーシャルはそのまま拳銃として使うことはできないが、改造すれば弾丸の発射が可能になるため、回収が必要と判断されたという。
ーースカイマーシャルを購入したのはいつごろでしょうか?
「購入時期は6月の初め頃でした。Amazonで注文した形になります。価格は4000円程度と、金属製パーツを使用したトイガンとしては非常に安価でした。購入したきっかけは、Amazonのおすすめに表示された為です。購入した頃、中国製の安価でリアルなおもちゃの銃が流行っており、特に話題になったのがウェブリーリボルバーでした。このウェブリーを購入した際におすすめとして表示され、形がカッコよくて安価だった為、ついでにと購入した次第です」
ーースカイマーシャルの使用感について教えてください。
「使用感に関しましては、非常に良くできたトイガンという印象でした。各部に金属パーツが多用されている為か、カッチリとした動きで、重量感もあり、とても4000円の安価なおもちゃには見えませんでした。他のおもちゃと異なる点は、やはり撃針(球を打ち出す為のパーツ)が実銃と同様に動く点、そして、シリンダー(弾倉)が金属製で筒抜けという点です。撃針に関しては実銃として摘発されたトイガンと似ており、それらのトイガンよりもさらに構造的にまずいという印象でした。シリンダーが金属製で筒抜けというのも、日本の銃刀法的にはアウトです。昭和46年、昭和52年に金属製トイガンに関する規制が行われており、金属製のシリンダーは改造防止の観点から、強度を下げる為の切り欠きを入れなければならず、今回のスカイマーシャルにはその切り欠きがありませんでした。実銃認定と回収の主要因は撃針の構造が実銃と同様で、実弾を発射可能と判断された為ですが、切り欠きの無い金属製のシリンダーの時点で、構造が違っても回収処分は避けられなかったでしょう」
ーースカイマーシャルを警察に提出した経緯について教えてください。
「9月2日、昼食中に管轄の警察署から電話があり、事情を説明していただきました。私服警官と思しき二人組のお巡りさんが回収に見えられたので、回収の同意書3枚にサインして現物を引き渡しました。回収の際に物品名が『トイガン』ではなく『回転式拳銃(本物のリボルバー)』となっていたのが何とも生々しく、少し緊張しました」
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スカイマーシャルは現在のところ、所持していても銃刀法違反ですぐに摘発されることはありませんが、兵庫県警薬物銃器対策課は「おもちゃとは言え、改造すれば危険な物になり得る。過去にも改造銃や密造銃が摘発された事例はあり、注意して欲しい」としています。