「警察の失態だ」看守経験ある元刑事が指摘 留置先で自殺図った容疑者が重体 保険金目当てで養母殺害

小川 泰平 小川 泰平

 大阪府高槻市で2021年7月、当時54歳だった会社員・高井直子さんを保険金目的で殺害した疑いで再逮捕された養子の高井凜容疑者(旧姓松田)(28)が1日、大阪府警福島警察署の留置施設で首をつり、心肺停止の重体で搬送されたことを受け、元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は当サイトの取材に対し、現役時代に留置場の看守を務めたことのある自身の経験を踏まえて、留置場での実態を説明した。

 府警によると高井容疑者は1日午前7時ごろ、留置施設の居室内で窓の金網にひものようなものを束ねてかけ、首をつっている状態で署員に発見された。自殺を図ったとみられ、搬送先の医療機関で治療が続いている。

 同容疑者はこれまでの取り調べの雑談で「逃走を考えている」と話したり、看守の様子をうかがうなどしていたことから、府警は通常より巡回の頻度を増やして監視を強める「特異被留置者」に指定していた。

 高井容疑者が首をつった状態で発見される約15分前、本人は布団で寝ている状態だったという。その間に行動を起こしたことになる。

 小川氏は「留置場では午前7時起床ですので、発見時は、留置人が敷布団と、毛布等を布団部屋に本人が持って行く作業をやる時間です。留置された容疑者が自殺を図るケースはよくあることではないが、私も留置場で看守勤務をしていた時に、今回と同じようなケースがありました」と明かした。

 また、巡回について、同氏は「現在は通常15分に1回、1時間に4回の巡回ですが、捜査関係者の話によると、今回は福島警察署の『特異被留置者』に指定されていたことから、5回から6回、巡回していたようです」と付け加えた。

 さらに、小川氏は「留置場に入る時は厳しい身体検査をするが、それ以外にも持ち物の検査がある。ネクタイは当然入りませんし、ズボンのベルトだけでなく、スエットのズボンの腰部分やパーカのフードなど、ひもが付いている服も含めて、ひも類は一切持ち込めません」と指摘。実際に高井容疑者が首に巻いたひものようなものが何であるかは現時点で不明とした。

 小川氏は「現在は心肺停止とのことであるが、回復し、取り調べを受けることができない事態になると、養子縁組の真相、保険加入時の状況、そして殺害に至る経緯などが不明となる。警察の失態といわざるを得ない」と指摘。さらに、同氏は「留置場の看守時代に、上司や先輩から耳にタコができるほど言われてきた。『留置場勤務は何もなくて当たり前、何かあったら処分』。そう言われていたことを思い出した」と振り返った。

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