レッサーパンダとアライグマ、違いは分かる?それぞれの歯の数は? 歯科医芸人が解説

山本 智行 山本 智行

 レッサーパンダとアライグマ、キャラがかぶって紛らわしいと思いませんか。しかし、歯の数にはれっきとした違いがありました。歯科医芸人の”パンヂー陳”こと陳明裕さんがうんちくをまじえながら説明してくれました。(聞き手・山本 智行)

陳明裕(以下陳):今回も引き続きパンダの歯について、お話したいと思います。

--パンダは、もうエエでしょう。歯の数は42本って分かりましたし、なんで竹ばっかり食べているのかも、ある程度分かりました。読者も、もうお腹いっぱいですよ。

陳:大丈夫です。さまざまな理由から中国が嫌いという方は時折、お見掛けしますが、パンダが嫌いという人にはお会いしたこと、ないですから。それに前回はパンダっていっても、ジャイアントパンダの話しかしてないですし。レッサーパンダを忘れてますよ。

--レッサーパンダって、あの風太くんくらいしか話題になったことないんちゃいます。パンダっていえば、ジャイアントパンダだけでいいでしょう。

陳:2足で立つ姿がかわいいと評判になった千葉市動物公園のかつての人気者、風太くんですね、ってイチイチ説明せなあかんような古い例、出すのやめて下さい。でも、風太くんはご存命とのこと。残念ながら最近は高齢のため、2足で立ち上がることもなく、白内障も患ってるそうですけど。じゃ、レッサーパンダの歯の本数は、ご存知ですか?

--パンダと同じとちゃいますのん?っていうか、例え2、3本歯の数なんか違っていても別に気になりませんけどね。

陳:そうなんです。レッサーパンダって、そういう扱いなんですよね。そもそも名前に「少ない・小さい・劣る」という意味の「less」の比較級「lesser」がついちゃってる時点で、何だかなーって感じですが、その生い立ちを知ると、ますます悲しくなっちゃいますよ。もともと、ジャイアントパンダよりレッサーパンダの方が先に発見されたんです。

--じゃ、当時はパンダといえば、レッサーの方だったんですね。

陳:レッサーパンダは1820年代にはヨーロッパでも、その存在を知られるようになっていたようです。はじめのうちは「キツネの毛皮」と「ネコの顔」と「アライグマの尾」を持つ不思議な動物とされ「ヒマラヤギツネ」「火色のキツネ」「ネコグマ」「ヒマラヤアライグマ」「山の子」「火キツネ」など色んな呼び方をされた挙句に「ニャリャ・ポンガ」と言うネパール語がなまって「パンダ」になったそうです。

--「ニャリャ・ポンガ」が「パンダ」に!?無理がありませんか。

陳:当時、レッサーパンダが唯一のパンダでしたが、1869年にフランス人宣教師によってジャイアントパンダが紹介され、頭の骨の形や足の形状・生態などからレッサーパンダと同じ仲間と分かってからはジャイアントパンダに「庇を貸して母屋を奪われた」的な感じになったようです。

--レッサーパンダもそれなりの存在感はあると思うんですが、どうしてもアライグマとキャラがかぶっちゃうんですよね。

陳:確かに芸能界で言ったら「みちょぱ」と「ゆきぽよ」みたい。女子プロレス界で言うたら「北斗晶」と「ジャガー横田」くらい似てますよね。でも、おすぎとピーコさんですら見分けることが可能なように、アライグマとも、ちゃんと見分ける方法があるので、お教えします。

--それは助かります。北斗晶とジャガー横田はぎりぎり見分けがつきますが、いまでもラスカルと風太くん、いや、アライグマとレッサーパンダはごちゃまぜになるときがありますから。

陳:いいですか。レッサーパンダは、からだは赤みがかった茶色で、丸顔で太い眉毛とほっぺが白いですが、アライグマは灰色っぽい茶色をしていて、ふっくらしたキツネ顔で目の下に、徹夜麻雀明けのような黒いクマがあるので、すぐ見分けられます。

--意義ありです。それだとアライグマラスカルは茶色で顔も丸顔で、目の周りも黒でなく白なので、レッサーパンダになっちゃいますよ。ラスカルはアライグマと名乗ってますが、見た目からいうとレッサーパンダに近いのでは!?

陳:いえいえ、ラスカルはアメリカの作家スターリングノースが幼少時代をもとに書いたので、生息地から推察してもアライグマに間違いないです。ただ、もともとアライグマは外来生物だったんですが、いまでは日本でもたくさん生息しているようで最近、こんな一件がありました。わたしの自宅の離れを工事していた大工さんから「お宅で動物が死んでる」と連絡を受けて、見に行ってみると畳の上にアライグマの死骸があったんですよ。チョコっと開いてた窓から侵入したみたいです。

--多分、そのアライグマもせめて「死ぬ時は畳の上で」と思ったんでしょうかね。それよりそろそろ、レッサーパンダの歯の本数、教えてくださいよ。

陳:確かに、前振りが長すぎとピーコ、でした。レッサーパンダは上顎18本下顎20本の38本です。ジャイアントパンダの42本と比べて4本も歯が少ないんです。

--なんで、また。

陳:理由としては、北海道大学歯学部口腔解剖学口座にいらっしゃった米田正明先生の論文に「哺乳類の歯は食性の特殊化に伴って数が減り、残された歯に機能が集中された。クマ類の場合、臼歯の雑食適応による丘陵歯化、前臼歯の退化・消失が同時に進行している」とありますので、レッサーパンダの方がより進んでいるのかもしれません。ちなみに、アライグマは40本です。

--そんなことより、風太くんのいまが気になって仕方ありません。

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