夏休みの最大難関「私も大の苦手だった」…付録の読書感想文の書き方が「一番求めてたもの」と好評

門倉 早希 門倉 早希

8月も下旬に差し掛かり、小学生から高校生たちの夏休みも残すところあと1週間ほどです。夏休みと言えば、避けて通れないのが「宿題」。なかでも、最大の難関「読書感想文」が残っている人も少なくないのでは?

読書感想文と言えば、文字数の上限に指定はあるものの、感想文なので書き方は指定されていません。それゆえ、どのように書くのか漠然としたままで面倒になり、とにかく思ったことを文字数に到達するまで書き連ねた人も多いのではないでしょうか。

そんな読書感想文を手助けする学習教材のプリントが、先日SNSで話題になりました。夏休み用問題集の付録だというプリントには、「本をえらんだわけ」「こころにのこったところ」といった、書き方を導くような質問が数問並んでいます。どのように進めていけばよいか順序が分かることに加え、プリントに自分の考えを書き込む欄があり、頭の整理や読書感想文の骨組みづくりに役立ちそうです。

このプリントを作ったのは、小学校用の教材・教具、児童向け図書を出版している「文溪堂」。発案者である同社編集部の馬場さんにお話を伺いました。

※プリントは学校教材の一部(付録)なので、この教材を導入しているかは学校により異なります。書店や個人での販売はありませんのでご注意ください。

担当者は「本を読むことが嫌いでした」!?

ーーこのプリントが生まれたきっかけは?

「夏休みの宿題として『読書感想文』は定番だと思いますが、『そもそも、何をどうやって書いたらいいの?』という声はよく聞きます。また、私自身も読書感想文が大の苦手でしたので、読書感想文を書くための手がかりになればと思い、作成しました。

この『読書感想文の書き方』プリントは、1学期までの学習内容の復習として夏休みの間に使う問題集の付録として作成しました。先行して2018年度の夏休み用問題集に3・4年生(中学年)用と5・6年生(高学年)用を作成、2019年度に1・2年生(低学年)用も作成しました」

ーー馬場さんも読書感想文が苦手だったとは、予想外です。

「そもそも、本を読むことが嫌いでした(苦笑)。『読書感想文のために本を読まなければならない』というところから嫌でしたね。また、『原稿用紙5枚に書く』と、感想を書く枚数が決められている(しかも多い…)ことも心理的に負担で。『私の感想なんて、1枚もあればじゅうぶん書き終わるのに…』と思いながら、巻末の『あとがき』を書き写すなどして、いやいや原稿用紙を埋めていました」

ーーご自身の経験を活かしての発案だったんですね。プリントの完成まではスムーズに?

「作成する際に、いちばん気をつけていたのは、『子どもたちが読書感想文に楽しく取り組めるように』ということです。必要な情報は掲載したいけれど、それによって文字量が多くなると子どもたちがシートを見る気が失せてしまうと思ったので、そのバランスを取るのには苦労しました。イラストや色使いも明るめにして、紙面からも楽しさが出るようにしました。

社内では、『読書感想文を書くためのシートなのだから、記入欄は大きくすべき』といった意見もありました。しかし、これはあくまでも『読書感想文を書く前段階の補助シート』なので、文章を書くことに苦手意識のある子にとっては、これから原稿用紙に書く前のシートでたくさん書くということだけで大変で、負担になってしまいます。ですので、記入スペースは広くしましたが、行は少なめにして、取り組みやすくしました。

また、書く内容についても、立派なことを書く必要はないと伝わるような具体例をいくつか取り上げることで、『これなら、なんとか感想文が書けそうだ』と思えるシートになるよう心がけました」

ーー教員、保護者の方からの反響は。

「残念ながら、学校の先生方からコメントをいただいたことはありません。漢字ドリルや計算ドリルのように学校で購入し、授業や宿題で使っていただく問題集であれば、それなりの反応はいただけるかもしれませんが、こちらは夏休みの問題集の付録なので、学校の先生はお気づきでない、ということもあるかもしれません。

おかげさまで、昨年の夏休みの時期にも、SNSで話題になりましたので、その際は保護者の方から『子どもの宿題用にこのプリントを販売してもらえないか』といったお問い合わせをいただいたこともございました」

ーー話題になったことについて、馬場さんのお気持ちを聞かせてください。

「読書感想文が苦手だった保護者の方が、『読書感想文が書けない』『何を書いたらよいかわからない』と言うお子さんとともに困っていらっしゃるのだろうな、と思いました。我が家も同じような状況でしたので…。

お仕事の場面でも、手紙やメールの書き方のテンプレートはたくさんあり、活用されている方は多いと思います。読書感想文でも同じように、まずは、何か書くことができるよう、書くためのヒントとしてこの『読書感想文の書き方』を活用してもらえたら嬉しいです」

◇ ◇

プリント単体の販売はおこなわれているのか、馬場さんに伺ったところ、「申し訳ありませんが、こちらのプリントは、夏休み用の問題集の付録として作成しているものですので、単体での販売や配布の予定はありません。また、この夏休み用の問題集は学校で購入いただくものでして、書店販売や個人販売はしておりません」とのことでした。

このプリントは文溪堂が販売している「パーフェクト夏」「夏にチャレンジ」など、夏休み用問題集に付録としてついているそうです。

SNSではこのプリントについて、「羨ましい 昔は毎年、何が何だかわからず苦しんでた」「親切でいい。こういうのがあれば国語が嫌いにならなかったろうなぁ」「俺達が一番求めてたものや」「苦手意識を持たせないようにする取り組みですね。チュートリアル有能すぎ!」と、読書感想文を経験してきた大人世代から続々とコメントがついています。

文溪堂:http://www.bunkei.co.jp/

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