7月8日に発生した安倍晋三元首相の悲しいニュースは、台湾でも衝撃が走りました。台北中心部にある日本台湾交流協会の前には事件翌日の9日、有志により弔問記帳用の大きなボードが設置され、炎天下の中、弔問に訪れる人の列が途切れません。
約2日で余白なくなるほどのメッセージ
日本台湾交流協会台北事務所とは大使館の役割を果たす事務所で、在台日本人のパスポート更新等の手続きなどをする場所です。筆者が訪れたのは11日午後2時すぎ。この日の天気は晴天で気温36度。少し外を歩くだけでも倒れそうな厳しい環境にもかかわらず、遠くからでもビルの前に人だかりができているのが分かりました。ボードに近付くと、次から次へと絶え間なく人がやってきてメッセージを書いていきます。献花も受け付けており、お花を持参される方もいました。
ボード自体はかなり大きな物ですが、すでに余白はなく、急きょ追加で用意された付せん用紙にメッセージが書かれて貼り付けられていました。
メッセージは大部分は中国語と日本語、中にはスペイン語などもあります。台湾では日本語を学習する人がかなり多く、台湾人が日本語で書いたメッセージも多数あるようでした。
内容として目立つのが「感謝」という言葉。安倍元首相は親台として知られていたので、政治的な問題が多数存在する台湾の方々からすると心強い存在だったのでしょう。「台湾を支えてくれてありがとう」というメッセージが本当にたくさんあります。そして「一路平安(イールーピンアン)」という言葉も目立ちます。これは誰かが遠くに旅立つ時に言う「道中ご無事で」の意味で、「天国までお気をつけて行ってください」というニュアンスです。
台湾は世界でもトップレベルの親日国で、日本への思いをとても強く感じます。台湾に移住して9年以上経ちますが、ずっと心地よく滞在しており、日本人ということで嫌な思いをしたことは一回もありません。これまでもたくさんの人に「日本大好き!」と言われました。今後も日本と台湾のいい関係が続いていけばーーと思います。