お寺などで見られ、恐ろしい形相で睨みを利かせているイメージのある仁王像。そんな仁王像をモチーフにしたギャップのある作品が、SNSで11万いいねを集めるほど話題を呼んでいます。
注目を浴びている作品は、なんと「セグウェイに乗った仁王像」。通常の仁王像とのギャップが人々の目を惹き、「めっちゃ楽しそう」「めっちゃエンジョイしてる!」「乗れてよかったねぇ」などさまざまな感想が寄せられていました。
そんな話題作の作者は、みよしんさん(Twitter:@GOEGOE05)。東京藝術大学彫刻学部を卒業後に、同大学の大学院文化財保存学保存彫刻研究室に入学し、現在は修了されているそうです。作品誕生のきっかけなどについてお話を訊きました。
「仁王様や狛犬たちに休んでほしいなと…」
--「セグウェイ仁王様」はいつ頃に制作された作品でしょうか。
「制作したのは学部2年生の時です。3年生に進級するために進級展という展示があり、その提出作品として制作しました」
--歴史のある作品なのですね。展示されたきっかけは?
「ギャラリーを運営している方が私の作品を気に入ってくださり、展示したいというご連絡をいただいたのがきっかけです」
--SNSだけに留まらず、多くの人を魅了する作品ですね。一見木彫りのようにも見えますが…?
「粘土で造形したものを窯で焼いた、『テラコッタ』という技法で作っています」
--どういったコンセプトで制作されたのでしょうか。
「500年、1000年と、ずっと同じポーズで力み続けている仁王様や狛犬たちに休んでほしいなと思い、制作しました」
--以前にも赤子を抱く優しげな仁王像作品『オフの日』が話題になっていましたね。「普通では思い浮かばない」と絶賛の声が多く見受けられました。現在も引き続き作家活動をおこなわれているのでしょうか?
「大学を卒業し、自宅で制作するようになったため大きい作品を作るのは難しいですが、小さい作品を自分のペースで作り続けています」
--これを機に、みよしんさんの作品へ益々期待を寄せる人が増えていそうです。
「正直とても恐れ多くて、びっくりしています。ですが、同時にたくさんの方に見ていただいたうえに、温かいお言葉も頂戴し、本当に嬉しく思います。ただひたすらにありがたいです」
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仁王像の後ろに写っているのは、中村俊月さん(@shungetsu)による『円相の竹林』というアート作品。「セグウェイ仁王様」のギャラリー展示に合わせて制作された作品だそうで、「竹素材で円相を作って重ねることで仁王像の躍動感を表現しました」と中村さんは話します。
制作については、「一緒に展示をさせていただけると聞いた時から興奮状態でした。力を持った作品だったので、それを受け止められたかどうかわかりませんが、制作時から楽しい時間でした。『セグウェイに乗る仁王様』を見た興奮が多くの方と共有できたのだとしたら、とてもとても嬉しいです」と話してくれました。
展示場所は、一ノ瀬健太さん(@iccchiiiiii)がキュレーションを務める「日本橋N11ギャラリー」(東京都中央区/@Nihonbashi_N11)。音楽・美術をはじめとするアートと社会とを結び、アーティストの手配、運営、マネージメントなどを行なっている施設です。興味を持った方は是非、アートの世界に足を踏み入れてみてください。