「彫刻家を父に持つとこうなるんだよ…」娘の色鉛筆に小さな地蔵を彫った仏師 何気ないイタズラのつもりがクオリティ高すぎてバズる

黒川 裕生 黒川 裕生

「娘が保育園で使う色鉛筆。
 名前を入れるところ削っておいてといわれるとイタズラ心がムズムズと…。
 ひっくり返すとお地蔵さん
 彫刻家を父に持つとこうなるんだよ」

京都の仏師、宮本我休さん(@Gakyu_Miyamoto)がそんな言葉を添えてTwitterに投稿したのは、色鉛筆のわずか数ミリ幅しかない側面に彫られた小さな小さなお地蔵さま。赤色を生かしたよだれ掛けも実に愛らしくて、子供相手の“イタズラ”にしてはいささかレベルが高すぎる!(笑)

「カッコイイ」「『職人技』の遊び心、マジで最高」「いつもお父さんがそばで見守ってくれているみたい」「力が宿った色鉛筆やぁ!!」と大きな反響を呼んでいる「お地蔵さんが彫られた色鉛筆」について、宮本さんに話を聞いた。

めちゃめちゃ喜んでくれた娘さん

―ご本業だけあって、とんでもないクオリティですね。これを彫るのに時間はどれくらいかかりましたか?

「休憩時間の1時間くらいで仕上げました。次の日に娘が持っていくことになっていたので、何とかこの日のうちに…と急ぎました。本当はもっと完成度を高めたかったのですが、ご依頼でお待たせしている方もおられる中で、これが精一杯でした」

―これを見た娘さんの反応はいかがでしたか?

「めちゃめちゃ喜んでもらえました! 子育てに正解はないかもしれませんが、自分なりの愛情表現をしながら大切に育てていきたいと、あらためて思いました」

―こういうイタズラはよくされるのですか? 別の投稿によると、今は小学2年生になった息子さんの時には「大黒さま」を彫ったそうですが…。

「普段はしませんね。これくらいです(笑)。実は長男の時もとても喜んでくれたんですが、その部分を誤ってすぐに削ってしまったんです。長男からは『もう一度彫って欲しい』とせがまれたのに、忙しくて叶えてやれなかったという悔いもあったので、娘の色鉛筆にも同じように彫刻のイタズラを仕掛けてみました」

「私の親は公務員で、どんな仕事をしているのかということをあまり考えずに育ちました。でも今は、『親の仕事をもっと知りたかった』と思います。自分の子供たちには、父親の仕事を身近に感じてもらいたい。そんな願いも込めたイタズラです」

ファッションデザイナー志望から仏の道へ

宮本さんは元ファッションデザイナー志望で、学生時代は服作りに明け暮れたという経歴の持ち主。「流行が目まぐるしく移り変わるファッションの世界と違い、仏像は1000年、あるいはもっと先まで考えて作られます。その時間軸の壮大さにやられてしまいました」という宮本さん、16年ほど前に仏師の道へ。それからは「取り憑かれたように」(本人談)仏像を彫り続け、9年間の修行の末に独立。今は弟子2人と日々、造仏に励んでいるそうだ。

「ファッション業界を志していた学生時代に散々布を触ってきたことが、今、仏像の衣を彫るときに生かされています。紆余曲折あった人生ですが、経験は何ひとつ無駄になっていません。自分が作った仏で人を救うことができる仏師という仕事に魅力を感じています」と語る宮本さん。自身のサイトでは、自身が手掛けた仏像や仏具のほか、動物の木彫刻作品などを紹介している。

【宮本我休さんのサイト】https://gakyu.jp/

【YouTubeチャンネル】https://youtube.com/channel/UC0CjDa7lc4g7veJzIJST0bw

【Twitter】@Gakyu_Miyamoto

【Instagram】@gakyu01

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