とげ、とげ、とげ…こんなところにツバメの巣 駅の風物詩に不穏な異変…実はハト対策でした

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えっ!? そんなところに―。JRの駅構内。「落下物」の注意を呼びかける看板を見上げると、ツバメが巣を作っている。同時に目に飛び込んできたのがその真下にあるとげの付いた照明。十数本のとげのすぐ先で、ひなたちがピーピーと鳴いていた。

兵庫県三田(さんだ)市にあるJR三田駅。ここには例年ツバメが数カ所に営巣しており、乗降客にとっては初夏の風物詩のようになっている。ただ今年は、作った位置が不穏だった。照明の傘に付いたとげを避け、その上の配線部分に器用に巣を作っている。

周囲を見渡すと、売店や券売機の看板の上、窓枠にもとげ、とげ、とげ。映画「マッドマックス」の世界のようだ。もしや、駅側がツバメが来ることを拒んでいるのでは? 駅を管轄するJR西日本に取材したところ、「ツバメというより主にハト対策です。三田駅には多くのハトがすみ着いているので」との回答。確かに、とげの合間に悠々と止まっているハトの姿があった。

とげの上にツバメが巣を作るのは、今回が初めてという。コンコースの真ん中にあるため、乗降客にふんが落下する可能性が高い。駅側は対策のためコーン標識を立て、一部を通れないようにしている。さらにエスカレーターの壁には「こそだてがんばります ぱぱツバメ(育休中)」とイラスト付きで注意を呼び掛けた。中には足を止めて、ひなを眺める乗降客も少なくない。

巣を撤去しないのは、鳥獣保護法で鳥や卵の採取、損傷を禁じられていることもある。だが、それ以上に毎年駅に来るツバメへの「愛」があるのだろう。JR西の担当者は「お客様からも『また来たね』『元気に育っているね』と声を掛けられる。通路が狭くなり迷惑を掛けるが、ツバメが元気に巣立つ日まで、全駅員と一緒に見守ってもらえたらうれしい」としている。

(まいどなニュース・神戸新聞/土井秀人)

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