著作権については厳しい時代ですが、そんななか素晴らしい著作権フリー素材が話題です。「『NDLイメージバンク』掲載の画像は、全て著作権保護期間を満了しています。レポートやSNS等にも、もちろんご利用いただけますが、こんな活用方法も。みなさんの活用アイデアもぜひ教えてください」とツイートしたのは国立国会図書館(NDL)。
投稿写真のタンブラーやブックカバーなどの和グッズは、いずれも「NDLイメージバンク」の画像を活用したもの。美術館や書籍で鑑賞するイメージがある日本画や伝統文様を身近な日用品にアレンジできる!? 利用登録も申請もなしで誰でも利用できる、このコンテンツについて担当者に聞きました。
3月から公開された「NDLイメージバンク」とは、国立国会図書館所蔵の浮世絵、雑誌、図書などから選りすぐりの画像を収録したオンライン展示。現在は約1900点(6月3日時点)がそろい、すべて著作権フリーのため無料で閲覧でき、出典を記載すれば自由に転載も可能とのこと。
SNSでは「すごい…ずっと見てられる」「川瀬巴水も見放題!!!」「法隆寺の古い文様ありがたい」「歌川広重の『越中船橋』も入ってる!申請しないで明記するだけで使える」「制作に行き詰まったら、過去に遡るのも良いかもしれません」「昔の少し変わった絵もありました。活用しない手はない」など、利用法を考える声が続々。
同館では所蔵資料をデジタル化して画像データを公開していますが、2014年5月から「著作権保護期間満了」と明示している画像データについては、手続き不要で転載できるようになったそう。同館利用サービス部の担当者に今回のツイートや思いについて聞きました。
――誰でもグッズなどに活用できるのですね!
これまでは、テレビ・雑誌などのメディア関係者や、学者・研究者による利用が多かったのではないかと思います。もっと広く使ってもらえる可能性があると考え、まずは「自分が使いたい」と思えるようなものを作りました。
――なるほど。以前から画像の転載はできたそうですが、なぜ新たに「NDLイメージバンク」を作ったのですか?
デジタル化資料は数百万点ありますが、検索だけでは見つけにくい、知られざる資料はまだたくさんあるからです。今回は画像(イメージ)について幅広く取り上げ、分かりやすく親しみやすく紹介したいと考えました。資料に解説をつけてテーマごとに紹介する「電子展示会」 のひとつとして、3月から公開しています。
――たしかにSNSでは「かわいい!」など気軽に楽しむ声も見られました。人気の画像やジャンルはありますか?
当初公開した中では、川瀬巴水の風景版画が人気です。SNSでは、図案に関するものが圧倒的に支持されました。
――これまでの利用状況はいかがですか?
先月(5月)のアクセス件数は3万件程度でした。なお、手続不要となる前は当館ウェブサイト全体から年間約6000件の転載依頼があったようです。これからより一層利用していただけることを期待しています。
――今後、利用できるデータは増やしていくのでしょうか?
順次増やしていく予定です。「錦絵で見る歳時記」とそのコラムは毎月更新する予定です。折に触れてアクセスしてみてください。
――最後に「NDLイメージバンク」を通じて感じてほしいことはありますか?
いわゆる著作権フリーではありますが、紙媒体の豊かな文化について知り、作成した人たちに敬意をもって利用することで、新しい価値を見つけてもらえたら嬉しいです。
なお、SNSで紹介したグッズは個人的に作ったものですが、商用での利用も可能です。「NDLイメージバンク」から転載した旨をどこかに記載していただく必要がありますので、ご協力よろしくお願いします。
◇ ◇
同館の電子展示会は1998年から始まった事業で、現在は26件のコンテンツが勢ぞろい。日本の近世から昭和にかけて各分野で活躍した有名人の直筆資料を紹介した「あの人の直筆」をはじめ、「近代日本人の肖像」「写真の中の明治・大正」「江戸の数学」など多ジャンルの貴重な資料を楽しめます。転載不可の場合もあるため、同館公式サイトの「電子展示会利用規約」でご確認を。
「NDLイメージバンク」https://rnavi.ndl.go.jp/imagebank/
「国立国会図書館 電子展示会」https://www.ndl.go.jp/jp/d_exhibitions/index.html
「国立国会図書館(NDL)」公式Twitter
https://twitter.com/NDLJP