今年のゴールデンウイークはコロナ禍元年2020年以来初となる行動制限がない長期休暇となりました。一方、SNSではみどりの券売機付近の混雑ぶりがわかる投稿が目に付きました。
3年ぶりの行動制限がないゴールデンウイークの利用実態は?
JR西日本は5月9日に今年のゴールデンウイーク(4月28日~5月8日)の利用状況を発表しました。それによりますと利用客は山陽新幹線132.4万人、北陸新幹線26.0万人、在来線特急48.9万人、計207.3万人となりました。
この利用者数は前年比284%、コロナ前の2018年比75%でした。コロナ前75%とはいえ、「だいぶ利用客が戻ってきたな」というのが実感です。
一方、Twitterではみどりの窓口、みどりの券売機の前に行列ができている、というツイートが多数見られました。これは大都市圏だけでなく、地方の主要駅でも見られた現象です。
発券業務の基本は「マルス」システム
現在、JR各社は指定券や企画券などの発券業務において「マルス」というシステムを使っています。「マルス」が全国的に普及したのは東海道新幹線が開業した1964(昭和39)年のこと。当時、日本初の全国的なオンラインシステムとして注目されました。
その後、需要増に応じて「マルス」も進化。1972(昭和50)年登場のマルスから予約開始日が7日前から現在の1カ月前に。1980年代には旅行会社にも「マルス」を設置しました。現在は2002(平成14)年に導入された「マルス501」が使われています。
このように「マルス」は進化しましたが、紙切符の発券・受取を基本としています。
国内でもチケットレスは進むが…
一方、ヨーロッパではチケットレスが一般的です。たとえばポーランド全土の長距離列車の切符は専用アプリから購入可能。車内検察の際はスマホ上に表示されるQRコードを提示すればいいだけです。ポーランド人の友人もよほどのことがない限り、スマホで切符を購入するとのことです。
JR各社もチケットレスに取り組んでいます。たとえばJR西日本はネット予約「e5489」にて「J-WESTチケットレス」「チケットレス特急券」「eチケットレス特急券」を提供しています。これは特急券などをインターネットで予約。当日は駅で特急券を受け取らず、ICカードを使って入場すれば完全にチケットレスで乗車可能です。
このうち「チケットレス特急券」はJ-WESTネット会員であれば利用でき、各種クレジットカードに対応しています。一方「eチケットレス特急券」はJ-WESTカード会員およびe5489コーポレートサービス会員限定となり、「チケットレス特急券」よりも割安価格で購入できます。
予約は「e5489」ページに加え、JR西日本独自のアプリ「WESTER」からも可能です。アプリの場合は「e5489」ページに遷移します。JR東日本「えきねっとアプリ」のように「e5489」独自のアプリはありません。
「チケットレス特急券」「eチケットレス特急券」ともに利用できる列車はJR西日本・JR四国エリア内の主な列車です。JR東日本やJR東海の列車は対応していません。
東海道・山陽新幹線ではチケットレスが可能なネット予約「EX予約」「スマートEX」が便利です。こちらは新幹線に割り切り、JR東海とJR西日本でシステムを統一しています。6月25日より九州新幹線区間でも使えるようになります。
ただし9月23日に開業する西九州新幹線(長崎~武雄温泉)では「EX予約」「スマートEX」が利用可能になるというニュースは現在のところ出ていません。
結局のところ全国一律のチケットレスシステムが存在しないため、とてもややこしいのが実態です。遠方の地でチケットレスにチャレンジしようと思っても、いちいちアプリをダウンロードしたり、会員登録をしたりするのは面倒なこと。しかもすべての特急列車がチケットレスに対応しているわけではありません。
全国一律のチケットレスシステムや全国対応のチケットレス予約アプリの登場が最終的な解決になることでしょう。