為替の円安が進む中、韓国通貨「ウォン」の紙幣でランチ料金の支払いができるサービスを、京都・祇園の韓国料理店が始めた。長引く新型コロナウイルス禍に円相場の急落や原油高も加わり、海外旅行のハードルは高くなっている。店舗は「気分だけでも韓国旅行を味わって」とPRしている。
昨年11月に東山区新橋通大和大路東入ルでオープンした「祇園 かんかんでり 麗」。韓国の宮廷料理などを八角形の器に盛り付けた看板メニューの「祇園『九節板(クジョルパン)』ランチ」(1980円)を、2万ウォン(約2050円相当)の紙幣で支払えるようにした。
美容やグルメ、ファッションを目的とした韓国旅行は近年、若者を中心に人気だ。現地の貨幣を日本に持ち帰る人も多いが、コロナ禍で気軽に渡航しにくくなり、当面の使い道がなくなったウォン紙幣を利用できるサービスを考えた。
「ウォン払い」導入の背景には、円安による個人消費の冷え込みに対する観光・飲食業界の懸念もある。足元の円相場は日銀の金融緩和政策で1ドル=130円前後と20年ぶりの円安水準で推移。ロシアのウクライナ侵攻に伴う原油高も相まって、旅行や外食を控える家計防衛が強まりかねないためだ。
同店は受け取ったウォン紙幣を、韓国から仕入れる食器などの決済に使用する。サービスは「韓国に自由に旅行できるようになるまで続ける」という。