マック、スタバのコロナ公開情報でグラフ作成→第5波のえぐさ可視化 「マックは世の中の指標」「感染力すさまじい」

竹内 章 竹内 章

新型コロナウイルスの感染者数が公的機関から毎日発表される中、マクドナルドとスターバックスの店舗における感染報告をもとにしたグラフが注目されています。コンビニ勢力図などデータを可視化した話題をSNSに発表しているツイッターユーザーのにゃんこそば(@ShinagawaJP)さんが作成したもので、デルタ株の流行を要因とする第5波のすさまじさを示します。ファストフードやコーヒーのチェーン店からみるコロナ禍という視点に「わかりやすい」「市街地での感染度合いを測る上で興味深い」「マックは世の中を客観視するのに便利な存在」などとSNSユーザーが反応しています。 

全国の店舗数はマックが2928(2021年6月)、スタバが1655(2021年6月)。HPで従業員の感染やそれに伴う店舗の一時休業の情報を公開しており、そのデータに着目しました。今年1月1日から7月末までの感染報告件数を集計し、マックでは一時休店率と昼間人口密度の関係を探りました。

 グラフが伝えるのは、第3、第4を凌駕する第5波のすさまじさ。特に7月下旬からのグラフの跳ね上がりから爆発的増加(オーバーシュート)がうかがえ、「悪化の事態をつかめる」「感染対策が徹底しているチェーン店(でこの数字)だからこそ、感染力が凄まじいことが分かる」とネット上では驚きを持って受け止められています。同一店舗での重複を除外すると、これまでにマックは764店舗(26%)、スタバは361店舗(22%)で従業員の陽性報告が出ているそうです。

 人口密度が高い順にマック店舗を100店ずつグループ化し、1度でも感染休店した店舗の割合を集計すると、人口密集地ほど休店率が高く、大都市の繁華街では50%に迫りました。もともと人口当たりの陽性者数は昼間人口密度に比例しており、マックも同じ傾向であることが確認されたことになります。にゃんこそばさんに聞きました。

―マックとスタバを選んだのは、情報公開や店舗数の面からでしょうか

「従業員の感染防止対策や、感染者発生時の閉店・消毒・再開のオペレーションが定型化されており、その内容がWebサイトで開示されています。店舗数の多さに加え、感染症対策の質や内容が全国均一であると思われるため、感染拡大状況を測る指標にふさわしいと考えました。注意しなければいけないのは、このグラフの見方です。両チェーンの休店数は全国の新規感染者数の推移と連動していて、今のところ特殊な動きはしていません。飲食店が市中に感染を広げているとか、マックやスタバが危険である、と解釈するのは早計です」

―グラフから何が読み取れますか

「ここ3週間ほど、全国の新規感染者数は前週比1.4倍(+40%)ほどで推移しており、マックやスタバの休店数も似たような傾向を示していました。それが7月27日ごろから急増し、今ではマック、スタバに限らず、多くの飲食・小売チェーンで臨時休業が相次いでいます。デルタ株の強い感染力がたびたび報じられていますが、店舗の臨時休業数を見ても明らかで、まさに今、感染拡大の真っ只中にあることを実感させられます。昼間の人口密度が高いエリアほど休店率が高いことも浮き彫りになっています。多くの人が集まる市街地ほど、市中感染のリスクが高いのではないかと考えられます」

 ―8月に入ってから状況は

「グラフを作成した7月30日以降、両チェーンの新規休店数は頭打ちになっています。今後の予測は統計・感染症の専門家に委ねたいところですが、市街地の人出が7月中旬から減少に転じていることを考えると、第5波についてはそろそろ山を越えてほしいという思いです」

―マック、スタバに限らず、接客業の人は不安と背中合わせで働いています

「第5波においても、「飲酒を伴う会食」の危険性が強調され、SNSでは「感染は自業自得」「会食しなければ感染しない」といった声も目にします。接客業における感染拡大と全国の感染拡大との相関性を示すことで、デルタ株の感染リスクの高さを可視化したいという思いで一連のグラフを作成しました」

―企業の危機管理は公開情報から読み取れますか

「安心して食事を楽しんでもらえるよう飲食チェーンは感染症対策に力を入れており、マック、スタバもWebサイトに感染拡大防止の取り組みを掲載しています。手洗い、アルコール消毒といった通り一遍の内容にとどまらず、休店・再開のお知らせ、従業員の衛生管理、購入時の接触を軽減できるサービスなどが非常にわかりやすく紹介されています。飲食店としての使命と安心・安全を両立させるという意気込みが伝わってきます」

―にゃんこそばさんの周囲でも飲食店は

「生活圏内でも飲食チェーンやスーパー、駅ビルのテナントで陽性者が発生し、1~2日ほど休業するという事案を目にするようになりました。これまで以上に、目に見えない感染症がすぐそこに迫っているということを実感しています」

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