全国にカラオケルームを展開しているJOYSOUNDが1店舗限定(池袋西口公園前店)で始めたユニークなサービスが注目を集めています。それは、なんと高機能ミシンの貸出。実は2022年2月下旬から密かにスタートしていた取り組みなのですが、ここ数日、利用者によるTwitter投稿などを機に広く知られるようになり、さらにネットニュースで取り上げられたことで「これは目から鱗」「最初は『え?』と思ったけど理由を知れば納得」「都心だけでなく郊外にも拡大してほしい」と爆発的な反響を呼びました。あまりにも好評なので、すでに期間の延長も決定したこのサービスについてあらためて取材しました。
SNSで拡散→利用の予約や取材が殺到
「お客さまのご予約や各種メディアからの取材依頼が急増し、大変なことになっています」
JOYSOUNDを運営するスタンダード(本社・東京)の親会社で、カラオケメーカーのエクシング(本社・名古屋市)の広報担当者は開口一番、こう言って嬉しそうに笑いました。仕事を増やしてすみません…。
「当初から面白い取り組みだとは自負しておりましたが、やはりお客さまの生の声は大きいですね。とにかくすごい反響で驚いています」
何故カラオケでミシン?
今年で誕生から30周年のJOYSOUND。全国に直営店を展開し、カラオケ文化の人気を支えてきましたが、コロナ禍でカラオケの利用者が激減し、苦境に立たされます。生き残りのために「歌う」以外のサービスを模索する中で生まれたのが高機能ミシンの貸出サービスでした。
「カラオケでミシン」という一見すると不思議な取り合わせは、エクシングの親会社が家庭用ミシンを製造するブラザー工業(本社・名古屋市)であることから実現しました。貸し出すのは、ブラザー工業が誇る高機能な家庭用刺繍ミシン「parie(パリエ)」。調べていただくとわかりますが、買おうと思うとなかなかのお値段です。ちなみにミシンの他、アイロンやアイロンマット、布切りバサミ、チャコペンもセットになっています(布や針、糸などの消耗品は持参)。
「身近にあるカラオケという個室空間で高機能なミシンを使っていただけるのが最大のメリットです。カラオケならではの大きなテーブルで作業できますし、息抜きに歌ったり、大画面・大音響で映像を楽しんだりできるのも大きな魅力ではないかと思います」(担当者)
実施店舗に池袋を選んだのは、集まりやすいターミナル駅であることと、何よりコスプレのメッカであるため、衣装制作の需要があると考えたからだといいます。実際、アニメやゲーム好きなコスプレイヤーの利用が多いですが、それ以外にも入園・入学や新学期の準備をする主婦、女子高生など、幅広い層にヒットしているとか。JOYSOUNDとしては「歌う」だけではない利用につながり、ブラザー工業もミシンの魅力や作る楽しさに触れてもらうきっかけになるとして、大きな手応えを感じているそうです。
コロナ禍でカラオケの可能性広げる試み
コロナ禍以降、JOYSOUNDでは「カラオケルーム」の特性を生かした多彩なサービスを展開しています。例えば大画面・大音響でライブビューイングや映画、アニメなどを楽しむ「みるハコ」、楽器の練習ができる「楽器カラオケ」、さらには楽器やボーカルのオンライン講座、セルフエステ(5月8日終了予定)、マーダーミステリーゲームなどなど。「歌う」ことが難しいという逆境を逆手に取り、アイデアを駆使してカラオケの可能性を広げてきました。
今回のミシン貸出サービスは潜在的な需要を掘り起こし、熱狂的な支持を獲得しました。担当者は「社内でも大盛り上がりです。このビッグウェーブに乗るしかないですよね」と話し、当初は5月24日までだった期間を8月24日までに延長することを決定。さらに、実施店舗の拡大も検討しているそうです。ただ、機械のメンテナンスなどが必要ということもあり、現時点ではどこまで広げられるかはわかりません。
担当者は「今後も型にとらわれず、様々なチャレンジをしていきたいと考えていますので、どうぞご期待ください」と話していました。
ミシンを使いたい場合は、JOYSOUND池袋西口公園前店のWEB予約時に希望レンタル品の中から「貸出ミシンセット」を選択。料金は1セット1回につき1000円(税込)で、別途カラオケ室料とワンドリンクが必要になります。