「夫の爪がはがれた」妻は病院に行く夫に、はがれた爪を持たせた これって正解だった?医師に聞いた

門倉 早希 門倉 早希

「緊急事態」と題された、残業キライ子ちゃん(@monamick30)さんの投稿がツイッターで話題です。「夫、ツメ剥がれた。父が事故で指を3本落とした時を教訓に。落ちてた夫の爪をなんとなく持たせた私。さっき、LINEで連絡『無かったら、一生ツメ生えなかったみたい』と夫から。爪の根っこにある細胞が、爪を再生させるために必要。これ、マジで知らなかったから、拡散案件なの。キヲツケテ」

ツイートには11万いいねがついたほか、リプライではほかのユーザーからの爪が剥がれたエピソードが連なっていました。病院で治療を受けた旦那さんはその後、快方に向かっているそうです。当時の状況やその後について、投稿者さんにお話を伺いました。

「息子とかくれんぼ中に急いで隠れて…」

ーー当時の状況を教えてください。

「5歳の息子とかくれんぼ中に急いで隠れるときに、階段の角を蹴ってしまい。実は、剥がれた爪は右足の中指です」

ーー足だったんですね。残業キライ子ちゃんさんはその場に?

「(時間は)18時くらいで、私はキッチンで夕食の準備中でした。子どもたちと餃子を包むため、ひき肉を捏ねてたら、階段で夫が『うわぁーっ!』と」

ーー旦那さんは回復中とのことで安心いたしました。

「見た目はグロテスクですが、順調に回復しています。傷口は毎日、水洗いしています」

ーーお父様のときを教訓にとのことでしたが、お父様のときはお医者さんに指を持ってきてくださいと言われたのでしょうか。

「養豚業をしていた父は、豚の餌を混ぜる機械に手をはさみ、右手の親指、人差し指、中指を落としました。落ちた指は母の指示で持って行ったのですが、餌にまみれてつけられず。第一関節から切り落とした中指の爪だけ縫い合わせたら、つめが指の先端を覆うように再生しました」

ーー大きな反響となりました。

「たくさんのいいね、嬉しいデス。体験談がたくさん書かれていたので、今後のもしもの備えになりました。特に、歯が折れた時はスグに牛乳に入れる。というのが印象的です。今回、うろ覚えの知識で難を逃れたのですが、知らなかったら、大変な事になってたと思うので、もしもの時のために頭の片隅に置いて頂ければ幸いです」

どうすればいいの?医師に聞いた

ツイートへの一部コメントでは、取れた爪が無いときは癒着しないようにプラスチックを差し込むという医師の意見も。爪が取れた場合、どうするのが正解なのでしょうか。松本クリニック(兵庫県芦屋市)の松本浩彦院長に解説してもらいました。

「爪剥離に対する最先端の治療について、私が最も信頼している兵庫県神戸市の甲南医療センター形成外科部長の芝岡美枝先生からもお知恵を拝借しました。

たしかに、爪が抜けた後の隙間である『後爪郭』と、爪の下の肉の部分『爪床』が癒着すると、爪が生えるときに痛い、爪が変形しやすいなどの弊害があるため、清潔なシリコンドレーンや人工爪などを後爪郭に挿入しておく方法があります。これは素人の患者さんが自己判断・処置できる事ではないため、医療機関の受診は必須です。

私たちが『爪』と呼んでいる部分は『爪甲』と言い、爪のつけ根から奥は『爪根』と呼ばれ、皮膚の下にあります。ここに爪の根っこである『爪母』があります。爪が剥がれた時、爪母細胞が皮膚の下に残っているかどうかで治療は異なります。爪が完全に抜け落ちているか、途中で折れているか、爪母も合併して削げてしまっているか、患者さんに判断は無理です。とれた爪や周囲の組織が残っていれば、必ずそれを持って医療機関を受診してください。ご自身の組織は貴重な材料として治療に生かせる可能性があります。

基本的には『新しい爪が生えてくるのを待つ』が王道です。そのために爪を残しておくのも正解です。はがれた爪は新しい爪が生えてくるまで元の位置に戻して、新しい爪が少しでもきれいに生えるために必要です。一部誤りの指摘があったのは『無かったら、一生ツメ生えなかったみたい』の記述が『間違い』と言いたいのでしょう。爪が脱落しただけで爪母が残っていれば、変形は残っても爪は再生します、と補足されたのだと思います。

ただ、『どんな場合も爪は持って行かなくてもよい』『自身でそのへんにあるプラスチックを突っ込んでおけばよい』と誤解されてはいけないので、補足の意味でコメントさせていただきました。素人が無造作にプラスチックを突っ込んで感染でも起こせば余計に爪は生えません。ただし新しい爪に生え変わるまで、大人で半年、子供で4ヶ月はみてください」

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