東京・板橋にある里親募集型保護猫カフェ「CAT'S INN TOKYO(キャッツイン東京)」の玄関先からマーガレットの鉢植え2つがこつぜんと消えました。奇妙なことに、鉢植えの定位置に置かれていたのは「松ぼっくり」。「マーガレットの鉢カバーが汚れていたので3つとも洗ってきれいにして並べ直した矢先でした」と肩を落とす同カフェ代表の藍智子さんに話を聞きました。
庭のお手入れの最中だったのに…
藍さんは4月10日の昼12時ごろ、エントランスの花台の上にいつもは3つ並ぶマーガレットの鉢植えが1つしかないことに気付きます。
「お庭のお手入れをしている最中のことだったので非常に驚きました。3つあった鉢のうち、2つがなくなっており、代わりなのか松ぼっくりが置いてありました。大家さんとご近所の方がそれぞれ防犯カメラを確認してくださいましたが、ちょうどお花を置いていた部分は写っていませんでした」
同カフェにとってはマーガレットも鉢カバーも思い入れのある物でした。
「マーガレットと鉢カバーはお庭が完成したときにスタッフと一緒に買いに行ったものです。私がマーガレットが好きなことをスタッフが覚えていてくれて、選んでくれたものです。当店は非営利の一般社団法人で、私は無報酬です。3つしか買わなかった理由は店の収入の過半数はご支援金によるものなので、常々節約して最大限猫たちに予算を回すようにしているからです。その貴重なご支援金で購入したマーガレットだったことも胸が痛いです」
「鉢カバーも安くてかわいい物をスタッフと探し回り、猫耳の付いたブリキの鉢カバーが3つだけ残っていたのを見つけました。その3つで在庫は最後でしたので、運命を感じて3つとも買いました」
大切に育ててきたお花「そっと返してください」
藍さんはいちるの望みをかけ、店の公式ツイッターアカウント(@CATS_INN_TOKYO)を更新し、次のように呼びかけました。
「花泥棒様、どうか返してください。大切に育ててきたお花です」
やさしい言い回しを選んだのには理由がありました。
「感情的なやり取り、言葉の暴力は苦手なのもありますが、昔住んでいたカナダのコインランドリーで毛布が盗まれたときにも、模造紙に丁寧な言葉とイラストを書いて張っていたら1週間後に戻って来たことがあり、性善説を信じていることもありますね。当時は『国の母が送ってくれた大切なブランケットなんです。返していただけないでしょうか。お願いです』といった内容を英語で書きました。戻ってきたときにも『返してくれてありがとう!』とメッセージを張り出しました」
同カフェの投稿には「本当にひどい」「ひどすぎる」「返してあげてほしい」「どうしてこんなことを」など、同情の声が寄せられています。
マーガレットを持ち去った人に今一度、伝えたいことはーー。
「そっと返しておいてください。きっとご自由にどうぞコーナーと間違えたのだと信じています。どうか早朝か夜にでもそっと。なくなった植木鉢のうち1つには、スタッフの手作りの小さなウェルカムボードも立てていたので、せっかく作ってくれたスタッフにも申し訳なく、悲しく思っています」
4月19日午前10時現在、マーガレットの鉢植えはまだ戻っていません。何のために松ぼっくりが置かれていたのか謎も残ったままです。