コロナ禍でリモートワークが浸透して、WEBライターを名乗る人がにわかに増えてきた印象がある。同時に「WEBライター募集」や「スキルゼロから稼げるWEBライターになりませんか」という広告もよく見かけるようになった。
WEBライターはどんな仕事で実際の収入はどれくらいなのか、世代や性別が異なる3人の現役WEBライターに聞いた。
1文字1円以下という設定も
WEBライターとは、新聞や雑誌など紙の媒体ではなく、企業のWEBサイトに掲載される記事や広告文を書いたり商品の説明文などを書いたりするライターのこと。検索エンジンの上位に表示されることや、SNS経由の集客を意識したSEOの知識も求められるため、紙媒体とは異なる執筆スキルが必要とされる。
また、報酬は「文字単価」といって、書いた文字数でカウントされる設定になっていることが多い。たとえば1文字1円なら、1000文字書いて1000円となる。記事によっては1文字あたり1円以下だったり、逆にもっと高い場合もあったりして、同じ文字数で同じ本数を書いても同じ収入になるとはかぎらないのだ。
月平均50万円を稼ぐ40歳の専業WEBライター
埼玉県で活動する佐藤誠一さん(40歳・ライター歴8年)は、WEBライターの報酬で生計を立てている。
「主に転職系の記事を書いています。WEB系の仕事をやりたかったのですが、未経験からできるのがWEBライターだったのです」
記事のテーマは自分からクライアントへ提案することが多いそうで、原稿料の決め方は「自分の希望額とクライアントさんの言い値の両方で折り合いをつけます」とのこと。
1日あたり12時間は執筆時間にあて、月に15本の記事を書くという。長い記事だと推敲に5日間を費やすこともあるといい、丁寧に取り組んでいる印象だ。
「収入は月ごとにバラツキはありますが、平均すると50万円くらい。執筆量に見合っていると思います」
子育てと家事をしながら自宅で書く38歳の主婦ライター
広島県で活動する山本知恵さん(38歳・ライター歴1年半)は、子育て中の主婦だ。子供中心の生活にならざるを得ず、勤めに出ることが困難なため、クラウドソーシングのマッチングサービスを提供するLancersに登録してWEBライターになったという。
「学芸員の資格を活かした美術系、趣味で演奏を長く続けている音楽系を主に書いています」
報酬はクライアントから提示される金額で請けることが多いそうだが「書きたいジャンルがあってギャラが低いと感じたら、『1本目にご満足いただけたら2本目以降は上げてもらえますか』という交渉をしたことはあります」という。
日曜日以外は1日4~5時間を執筆にあて、月に8~10本を書くそうだ。3,000字の記事を書くのに5~6時間かかるといい、月収は9万円前後とのこと。
「これから続けていくにつれて少しずつ収入が増えたらうれしいなと思っています」
これからは、さまざまなアーティストや演奏会などの魅力を伝える取材記事を書いてみたいという。
「取材方法なども学ばないといけないので、これからしっかり勉強していきたいです」
18歳の高校生ライターは、国家資格のファイナンシャルプランニング技能士を保有
佐藤さんと同じ埼玉県で活動するりょうさんは、ライター歴1年で18歳の高校生だ。
「WEBライターになった動機は、女手ひとつで育ててくれる母親を支えたいと思ったからです」
今年3月に3級ファイナンシャルプランニング技能士に合格したばかりだといい、資格を活かして金融と不動産に関連する記事を書いている。また、執筆テーマのうち7割は自分から提案するという。
報酬の決め方は、契約前に希望額を提示して、それが通ればよし。通らないときは、クライアントから示された金額で請けるそうだ。
学生という立場上、執筆に費やす時間は1日4~10時間とかなり幅がある。だが、ひと月あたりに書き上げる本数は20~30本と、3人の中では最も多い。月収は、これまでの最高が24万円で、平均すると16万円くらいとのこと。
書きっぱなしではダメ。生き残るには日々の勉強が大事
ときには1日1万字超の原稿を書くため、ひたすら書きまくって原稿を量産しているイメージが強いが、それだけの原稿を書くためにはやはり日々の勉強と文章の練習が欠かせないという。佐藤さんは自分でブログを開設して、記事以外にも自分の言葉で発信している。山本さんとりょうさんは読書の時間をとっていて、それぞれに表現方法や知識の習得に努めているそうだ。
最後に、WEBライターがクライアントから信頼を得るために大事なことを聞いてみた。
「クライアントさんの売り上げに貢献することです」(佐藤)
「当たり前ですが、納期を守ることです」(山本)
「質の高い原稿を提供することはもちろん、こまめな連絡と早めの納品だと思います」(りょう)
「参入するために乗り越えるべきハードル」は低くなった感のあるWEBライターだが、あるていど稼いで生き残るためには、やはり地道な努力は欠かせないようだ。