子どものヘルプマークを見た、中学生たちは…? 母の喜びツイートが話題「令和、本当に最高じゃん」

竹中  友一(RinToris) 竹中 友一(RinToris)

「私さぁ今日めっちゃ嬉しいことあって。娘とバス待ってたら、前に並んでた若い子の団体の内のひとりが娘のバッグに付いてたヘルプマークを見て『あの子障がいがあるみたいだから席埋まっちゃったら譲ってあげよ』って周りの子に話してるの聞こえて、令和、本当に最高じゃんって思った」

障がいのあるお子さんを育てるお母さんの喜びのツイートが話題になっています。

内閣府が発行する障害者白書(令和元年版)によると、日本で障がいをもっているとされている人の数は、人口の7.6%にも及ぶそうです。

そう考えると、障がいは意外に身近なものともいえます。日常生活の中で障がいのある人を見る機会も多いでしょう。自分や家族がそのような立場にならないとも限りません。なかには、一見そう見えなくても、実は困りごとがあって支援が必要な方もいます。

ヘルプマークはそのような方にとって大切なマーク。このマークを提示することで、周囲の人たちから支援が必要な方だと理解され、配慮を求めることができます。

喜びを投稿した、ふも!さん(@goecharQmiiii)の娘さんも、ヘルプマークを持っています。現在、療育園の年中さんだという娘さんですが、生後7カ月から乳児期に起こる難治性てんかん・ウエスト症候群を発症。今もてんかんの発作が出ることがあるなど、周囲の支援や配慮は必要不可欠です。

そのような時に効力があるはずのヘルプマーク。しかし、周囲の方がヘルプマークの意味を知らなかったり、配慮する心がなければ、意味をなしません。

ですが、今回は若い子たちがヘルプマークに気づき、配慮の心を見せてくれました。ふも!さんによると、その子たちは「中学生らしき10人ほどの団体」だったとのこと。

さらに、バスに乗り、停車駅で降りて、娘さんがバスにバイバイをすると、その中学生たちの数人がバスの中から手を振ってくれたそうです。

思いやりにあふれる心を持つ10代の子どもたち。とても心が温かくなるエピソードですね。

広がっている障がいへの理解。それでもまだ十分とは…?

ふも!さんによると、今回に限らず、地域の方々の優しさや思いやりを感じることは、これまでにも度々あったそう。そのことについても、ふも!さんは感謝のツイートをされています。

ツイートのリプ欄でも、障がいへの理解や配慮について、好意的なコメントが多数ありました。

「私もヘルプマーク付けていますが、立ったまま電車に乗っていると声かけて下さる方多いですよ」
「昭和生まれとして書きますが、自分と同年輩や上の世代と較べて、年々優しく気配りのできる若い人が増えていると感じます」
「小学生の娘の親友は、低血糖になってしまう可能性がある為、ヘルプマークつけています。私は数年前に初めて知りましたが、娘は授業で習ったみたいです」

「今の若者には優しい人が多い」と感じている人や、「今は学校の授業でも習っている」という声が多かったのが印象的でした。年配者から「最近の若者は…」などとという声が聞こえることもありますが、その一方でふも!さんが「令和最高!」とツイートされているように、今の令和の若者たちが、福祉に対する理解や配慮の心があるというのは、とても喜ばしいことです。

しかしながら、理解や配慮について、まだまだ足りないという意見をもつ人も。

「私もヘルプマーク使用の身体障害者ですが、電車に乗っても杖にもヘルプマークにも気付かないでスルーされることが多いです。気付いて席を譲ってくれるのは外国人のお兄さんだったり…」

このように、徐々に障がい者への支援や配慮についての知識は広まり、優しい人も増えてきていますが、一方でまだ無知や無関心といった場面に遭遇することも未だによくあります。

ふも!さんによると、横浜市港南区には、自治体が作成した障がい福祉の啓発ポスターが駅などの公共施設によく貼ってあるそうです。その影響もあってか、地域で地下鉄やバスに乗った時に、席を譲ってもらえたり声を掛けてもらえたりする機会は本当に多いとのこと。

自治体の取り組み方によっても、状況は変わるのかもしれませんね。

誰もがこの世界で一緒に生きている…という現実を意識して

生後間もなくウエスト症候群を発症したというふも!さんの娘さん。

発症から2年ほどは日々20~50回もの発作が起き、入退院を繰り返していたそうです。しかし、現在は命にかかわるような発作は少なくなり、バスや電車でのお出かけやおままごとなどの遊びを楽めるようになり、よく笑う天真爛漫な子どもに育っているといいます。

しかし、てんかん性脳症によって、知的障がいと自閉症の症状が後遺症として残り、言語の理解や善悪の判断には不安が残ります。また、睡眠障がいも抱えており、一晩眠ることも困難だそうです。ふも!さんの母親としての苦労は並大抵ではありません。

「常に頭の回らない状態で配慮や支援をしなければいけない日々に、私もつい声を荒げてしまったり、ときには手が出てしまうこともあります。この育児の光と影をたくさんの支援者の方と共有し合って、なんとか生きています」(ふも!さん)

障がいのある本人やその家族が少しでも生きやすくなるためには、世間がより障がいに対する理解を深め、支え合える社会を築くことが必要不可欠です。そのような社会を築くためには、どのようなことが大切なのでしょうか?

ふも!さんにご意見をおうかがいしました。

――ツイートでは障がいへの理解や優しさへの喜びや、ヘルプマークへの肯定的な話について書かれていますが、逆に批判などを受けたことは?

ふも!さん:娘にヘルプマークを付けていることについて、「まだ何も分からない子どもにこんなものを付けたらかわいそうじゃない?」と言われたことはあります。

――無理矢理つけられている、と思われてしまったのでしょうか?その方にはどう返されたのですか?

ふも!さん:「娘がパニックになったり発作を起こしたりした時に、その理由が障がいにあると周囲に分かってもらえるようにするためです」と私の考えを話したら納得してくれました。私個人の意見ではありますが、ヘルプマークは障がいのある本人が配慮や支援を求めるためのものであると同時に、周囲にいる人たちへの親切の意味合いもあると感じています。

――確かに、障がいへの理解や配慮については、当人だけでなく周囲の人たちとの歩み寄りが大切です。その意味で、自分の側から相手に知ってもらい納得してもらう、という姿勢は大事かもしれません。

ふも!さん:なので、批判の声に対しても、「そういう意見もあるのだな」ぐらいの気持ちで受け止めて、相手にもこちらの意見を丁寧に説明するよう心がけています。あとは、うちの娘は懐っこいところがありすぐ人に声を掛けてしまうので、その流れで「これはなんのマーク?」と聞かれることも多いです。

――娘さんのオープンな性格も良い方向に働いているのですね。現在は、そのような親子での取り組みも含めて、周囲の理解を少しずつ獲得されているというところかと思います。障がいに対する周囲の認識や理解について、具体的にどのように受け止めて欲しい、というような希望はありますか?

ふも!さん:個人的には、障がいに対してどう関心をもち、どう理解するかについては、人それぞれの自由であって良いと思っています。ただ、ほんの少し心に余裕ができたとき、“誰もがこの世界で一緒に生きている”という現実を意識していただけたら病児、障がい児の親としてはもう飛び上がるほど嬉しいです。

  ◇  ◇

障がいについての理解・配慮・支援の輪は少しずつ広がっています。しかし、それでも当人やご家族など関係者の苦労はなくなりません。

ふも!さんの言うように、皆が同じ世界で生きているという意識をもち、少しでも関わり合うことを心がけることが、よりよい社会を創る第一歩となるのかもしれませんね。

■ふも!さんのTwitterはこちら
 →https://twitter.com/goecharQmiiii

■横浜市港南区・障がい福祉のページはこちら
 →https://www.city.yokohama.lg.jp/konan/kurashi/fukushi_kaigo/fukushi/

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