県内各地に生息し、最長で全長が90センチを超える国内最長のミミズ「ハッタミミズ」。かつては薬としても利用されていた。その実態を探ろうと、県内の研究者らでつくる「全国ハッタミミズ・ダービー実行委員会滋賀県支部」が調査を始めた。過去に実際に薬として利用した人びとの思い出や写真、薬用の方法といった情報を募っている。
ハッタミミズは、主に水田の周辺に生息しており、世界中でも滋賀、石川、福井の3県でのみ確認されている。環境省のレッドリストでは準絶滅危惧種に指定されており、県内では高島や大津、草津、甲賀、彦根など琵琶湖周辺を中心に各地で見つかっている。
端をつかんで引っ張り上げると体がどんどん伸びることから、国内では最も長いミミズとして知られており、同実行委が主催し国内の各産出地でその長さなどを競う「全国ハッタミミズ・ダービー」も開催された。
ハッタミミズは、県内各地で民間療法として熱冷ましなどに1950年ごろまで使われていたことが分かっている。しかし、その利用方法や活用されていた場所などについて、これまでまとめられた情報が乏しく、今回県内住民から情報を集めることになった。
必要なデータは主に、薬としての「利用の仕方」や「使っていた場所」「使った時期」など。集まった内容は同支部がまとめ、研究成果として公表する予定。
生薬として熱を出すと粉末にしたり煎じたりして飲んでいたといい、同支部は「これまでのお年寄りへの聞き取りでは、気持ち悪い思いはしたけど不思議と効果があったという証言もある。どういう利用をされていたのかを調べることで、昔の生活の一端を知るきっかけになれば」としている。