労働は1日4時間へ あのころの未来にぼくらは立っているのかな 大阪万博のパンフが描いていた2020年 「星新一を感じる」「よもやの未来」 

竹内 章 竹内 章

会社は24時間業務を続けるが、人間の働く時間は1日4時間に短縮される-。1970年の人たちは50年後、こんな社会の到来を夢見ていました。「未来の住宅には、一生のうちで唯一の財産という所有物的な考えはなくなる」「ガンは、もちろん克服され、交通事故以外の時は、手術を必要としなくなる」とも。あのころの未来にぼくらは立っているのかなぁ… 

ツイッターユーザーの木の実(@knmooi1101)さんが、おばあちゃん家を掃除していて見つけたという1970年大阪万博の三菱未来館のパンフレット。「2020年がどうなっているか書いてある笑」と画像とともにツイートすると、「「オフィス」のとこ早めに実現してくれ」「星新一を感じる」「家庭で「世界中のテレビ中継が見られる」は当たってるし、教育分野では図らずもリモート学習の可能性が語られているのも面白い」などの声が上がっています。

三菱未来館は、当時創業100年の三菱グループが「日本の自然と日本人の夢」をテーマに、50年後の未来をビジョンに大阪万博で展開したパビリオン。パンフレットの冒頭には「単なる夢物語ではなく、近い将来かならず行われるであろう、私達日本人のかがやかしい未来の壮大なスペクタクルショーです。」と記され、高揚感がひしひしと伝わってきます。

未来予想は家庭、学校、病院、農業、住宅、オフィス、スポーツ、漁業のカテゴリーがあります。「世界中のテレビ中継が見られる」「教育の場は家庭に移り、ワイドテレビに送られてくる教育放送を聴く」「魚の群れを発見すると漁業レーダーが知らせてくれる」は的中です。「ミルクはコックをひねるだけで飲むことができる」というSF味のある予想も、みかんジュースでクリアです。逆に、かなわなかった夢としては「1日4時間労働」「プールや自家用ヘリコプターが一般の家庭に普及する」。これは2070年に望みをつなぎましょう。

大阪万博に行ったのは木の実さんの祖母と母と伯祖母と叔父でした。母と叔父は当時小学生で、叔父の部屋の荷物を整理中にパンフレットを発見しました。お兄さんが先に見つけたそうで、「ほぼSFの域じゃん!?」と盛り上がったそうです。木の実さんに聞きました。

―未来予想、最大の驚きは…

「やっぱりオフィス欄の4時間労働ですね!社会人なので最初に目が行きました。こうなってほしかったなと思います(笑)」

―当時の人の考え方がうかがえます

「全体的に電気!自動!と強調されている気がします。電気でできることに無限の可能性を見出しているからこその夢のある予想ですよね。楽で便利な暮らしを求めていたんだなぁと思いますね。面倒なことはすべて自動で、その機械は電気で動く。逆に電気が関係なさそうな欄は割と現実的というか無難というか、実現可能な範囲ですよね」

―的中した出来事も

「学校(教育)の欄はだいぶ予想的中なんじゃないでしょうか。この頃って大学まで進学する人達が増え始めた時期だと思うので、そういった時世も影響しての真面目な予想なのかなぁって思います」

―1970年の人たちが描いた未来に私たちはいます

「私が小学生だった時と比べても便利な世の中ですから、50年前の人たちにとっては今ってもっと夢のある未来ですよね。新型コロナウイルス感染症の蔓延で、いろいろと生活様式が変わってきていますが、こういうことも便利な世の中になる過程だと思います。オフィスの欄にある「通勤ラッシュが解消される」という予想もリモートワークが増えて出社する人が減った結果、以前より緩和されたので当たっています。未来を変えるのは技術革新だけではなく、伝統や習慣にとらわれすぎないこともあるのかなと」

万博記念公園のサイトによると、三菱未来館はホリミラースクリーン、スモークスクリーン、球体スクリーン、シルエトロンなどの新技術を駆使し、日本人が自然に打ち勝ち、未来を切り開く姿をドラマチックに表現。第1室から第5室までありました。

第2室は、宇宙ステーションの世界気象管理センターが超大型台風の接近を知らせるといった設定で、気象コントロール・ロケット隊によって台風が制圧されるまでのシーンがドラマチックに展開されました。第3室では、海底都市、海中牧場、海底発電所など未来の海洋開発の成果を示す景観が紹介され、スモークスクリーンに魚の映像を映し出す演出も。映像の下を進む観客は大きなフカに襲いかかられるようなスリルを味わったそうです。

木の実さんはオリジナルファンシーキャラクターのイラストをSNSで発表しています。ツイッターのアカウントはこちら→https://twitter.com/hazel_knm

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