Twitterユーザー「おしそ」さん(@_______aona)が3月13日、自身のTwitterに投稿した写真が15万を超える「いいね」を集めています。
おしそさんはこの日、冷蔵庫を開けた途端にアクシデントに見舞われました。「後で収納しよう」と無造作に突っ込んでいた卵パックが落下し、10個中5個が割れてしまったのです。
待ち受けるのは卵の液から小さな殻を取り除く作業。想像するだけで途方に暮れそうですが、おしそさんは知っていました。「卵の殻は水に濡らした指で簡単に取れる」。
おしそさんに実際の手順を聞くと、「人差し指を水で濡らして、殻を押し付けるように容器に沿って上まで持ってくるイメージです。透明な容器に移し、下に沈んだ殻を見ながら取りました。大きい殻は濡らした親指と人差し指でつまむことも出来ました」。
ちなみに5個の卵は、納豆オムレツと卵焼きに生まれ変わったそうです。
理由は「表面張力」と「1万個の穴」
卵のことは卵のプロに。料理別の専用卵「たまごかけごはん専用たまご」や「オムレツ専用たまご」などの開発・販売でも知られる鶏卵メーカー「小林ゴールドエッグ」(本社、徳島県徳島市)社長の小林真作さんに、指を濡らすと殻が取りやすくなる理由を聞きました。
◎理由1:表面張力
「水分は電気的に分子同士がくっつく力(分子間力)が強く、卵の高分子はその力が弱いのです。分子間力(ファンデルワールス力とも言います)は、言い換えると表面張力ですね。白身と水、どちらも液体ですが、白身の方が電気的にものにくっつく力(表面張力)が弱いので、水を指につけて殻を触ると、卵殻が水の方にくっつくのです」
◎理由2:殻にある1万個の穴
「卵殻がデコボコなので低分子の水の方がしみこみやすく、くっつきやすくなるためです。卵の殻は1万個の穴が開いている多孔質です。見た目にはツルツルでも、非常に凸凹しています。水のような分子がくっつくと、その凸凹へしみこんでいきやすい特徴があって、その効果は分子量の大きい卵白よりもはるかに強いのです」
「他にも裏技ありますか?」卵のプロに聞いた
では、殻が取りやすくなる裏技は他にもあるのでしょうか。小林社長は「私見も入っておりますが」と断った上で2つの方法を教えてくれました。
◎裏技1:塩を使う
「電気的な部分の効果が大きいわけですから、理論的に塩水の方が表面張力が大きくなりますので、塩水とかしょうゆを指につけると、さらに殻がくっつきやすいのではないかと思います」
◎裏技2:揺する
「全体を揺するという方法も有効かもしれません。液卵といって殻から割って中身だけを用いる商品がありまして、その製造の際に弊社でも細かな卵殻を取り除くことがあります。その際のコツとして、袋に入った卵液を少々揺すってやると、殻が上の方に上がってきます。卵液のたまごの比重が水より重く、意外と密度がありますので、揺すると卵殻よりも下側に移行するというケースがあるからかもしれません」
ただし、揺する場合は殻の形状によっては沈む可能性もあるため、個人で試すときは塩やしょうゆが無難でしょう。
社長の裏ワザ、試してみた
まいどなニュース編集部では、水と塩、しょうゆをそれぞれ指先につけて殻を取る裏技を試してみました。
結果はズバリ、「水・塩・しょうゆ、どのやり方でも面白いぐらい取りやすくなる」。卵白に突っ込んだ指から殻がつるんと逃げる現象は皆無。個人的には僅差ながら、しょうゆが一番取りやすい印象でした。今後も活用したいライフハックです。