「1人で成果を出せる」→「チームで成果を出せる」へ 一般社員に期待されること「10年間で大きく変わった」5割が回答 

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昨今、専門性の高い新入社員を高年収で採用することや、個人が高い専門性を身につけたり変化したりすることの重要性に焦点を当てた話題が増えているそうです。そのような潮流の中、一般社員への期待は、この10年でどのように変化してきたのでしょうか。

人材育成サービスを提供する株式会社ラーニングエージェンシーは、2021年10月から12月の期間で、ビジネスパーソン5099人を対象に「一般社員(非管理職)に期待されることの変化に関する調査」を実施しました。

調査の結果、5割の人が「10年前と比べて一般社員に期待されることが変わった」と回答。また、一般社員に期待されることについて、6割の人が「周囲を巻き込みリーダーシップをとること」と回答したものの、「実際に担えている人は2割の人しかいない」とも回答していることから、一般社員に期待されることは大きく変化した一方で、それに対して実態がまだ追いついていないことがわかったそうです。

「10年前と比べて一般社員に期待されることが変わったと思いますか」と聞いたところ、「変わった」と回答した人は54.7%でした。そのうち、管理職の回答だけでみると、「変わった」と回答した人は71.5%に上りました。

「10年前に一般社員に期待されていたこと」「現在、一般社員に期待されていること」を聞いたところ、一般社員に期待されることで、10年前と比べて最も増加した回答項目は「非定型的な業務・プロジェクト型の業務で役割を遂行する(+51.5ポイント)」でした。そのほか、「チームで協力して成果を上げる(+44.1ポイント)」「周囲を巻き込みリーダーシップをとる(+42.9ポイント)」も増加傾向にあり、一般社員の業務内容が、定型的な業務からプロジェクト型業務へと変化し、チームで遂行する業務能力が期待されるようになってきたといえます。

一方で、一般社員に期待されることで10年前と比べて最も減少した回答項目は、「定型的な業務を確実に遂行する(-43.1ポイント)」でした。次いで、「上位層の方針や判断をこまめに確認し、行動する(-15.3ポイント)」「個人として成果を上げる(-12.5ポイント)」も減少傾向にあり、ルーティン業務のように定型的に対応する業務を確実に遂行することのみならず、ゼロベースで考えることや、時に自らの責任で判断・行動することも期待されるようになってきているといいます。

「現在、一般社員に期待されていることと、実際担っている役割」を聞いたところ、スコアに最も差があったのは「周囲を巻き込みリーダーシップをとる(-37.2ポイント)」で、60.5%の方が一般社員に期待されると回答したものの、23.3%の方しか実際に担えていないと回答しています。同様に「非定型的な業務・プロジェクト型の業務で役割を遂行する(-34.8ポイント)」「自ら現場で判断し、行動する(-31.3ポイント)」「チームで協力して成果を上げる(-23.4ポイント)」も、期待されていることと実態に乖離があり、一般社員に期待されることは大きく変化した一方で、それに対して実態がまだ追いついていないことがわかりました。なお、回答者の役職による大きな差異は見られなかったそうです。

「一般社員に期待されることが変化した理由」を尋ねたところ、「状況の変化が速くなった(57.2%)」「顧客やマーケットのニーズが多様化した(42.6%)」が上位にあがりました。また、「チームメンバーの特性やレベル感が多様化した(41.9%)」の項目では、管理職の回答がやや多い(一般社員による回答との差異:4.7ポイント)結果となりました。管理職は、一般社員が感じるよりもチームメンバーの特性やレベル感が多様化していると捉えているようです。

「一般社員に求められるスキルや知識のうち、特に重視されるようになってきたと思うもの」を聞いたところ、「タイムマネジメント(55.8%)」が最多に。なお、「言語化する力(相手に合わせた表現で伝える力)(47.6%)」や「共感力(32.3%)」も高い結果となりました。

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調査を実施した同社では、「一般社員に期待されることが『1人で成果を出せる優秀な個人』から『チームを巻き込んで成果を出せる個人』へと変化しており、現在はその移行期にある」と説明。「市場ニーズの変化スピードが増し、多様化したことから、1人のスキルや経験に依存しては、継続して成果を出し続けることが難しくなっている。チームで成果を出すために『言語化する力』『共感力』など、メンバーとのコミュニケーションで欠かせないスキルが一般社員にも重視されるようになってきているが、これらのスキルは独力で身につけることが難しいため、会社として周囲を巻き込み、継続的な育成の取り組みを行うことが重要といえる」と述べています。

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