阪急電鉄宝塚駅は今津北線(宝塚~西宮北口)と宝塚本線(宝塚~大阪梅田)が乗り入れるターミナル駅です。平日朝ラッシュ時になると2つの準急が並ぶ興味深い光景が見られます。
あれ、どちらも準急・大阪梅田行きだ!
早速、平日朝8時の阪急宝塚駅に行ってみました。確かに2号線と3号線に仲良く緑幕の準急が並んでいます。しかも、行先も大阪梅田行き! どちらの準急を選ぶか、一瞬迷ってしまいます。
2号線(写真左側)の準急は今津北線・神戸本線経由の大阪梅田行き、3号線(写真右側)の準急は宝塚本線経由の大阪梅田行きですが、同じ準急列車でも性格が異なります。
今津北線・神戸本線経由の準急は宝塚~門戸厄神駅間は各駅に停車。西宮北口駅付近で神戸本線に乗り入れますが、何と西宮北口駅には止まりません。
「止まりません」と書きましたが、同駅付近で神戸本線の電車を見送るために一旦停止。まるで交差点で信号待ちをする自動車のようで、なかなか興味深い光景です。神戸本線では塚口、十三の順に停車します。
今津北線・神戸本線経由の準急は平日朝ラッシュ時の宝塚発大阪梅田行きのみ。宝塚駅から大阪梅田までの所要時間は40分を切り、平日朝ラッシュ時における宝塚本線の急行よりも早く着きます。しかも準急でありながら、通勤急行が停車する神戸本線の武庫之荘駅も通過します。
宝塚本線経由の準急…通過駅はたったの3駅のみ
宝塚本線経由の準急大阪梅田行きも平日朝ラッシュ時に運行されます。停車駅は宝塚~曽根駅間の各駅と十三、中津です。通過駅はわずか3駅(服部天神、庄内、三国)です。
通過区間(曽根~十三)はわずか約6キロですが、宝塚駅から大阪梅田駅まで先に到着します。宝塚駅から大阪梅田までの所要時間は約45分です。
神戸本線・今津北線経由…下りの宝塚行き準急は
現在は宝塚行きの準急は存在しませんが、過去には神戸本線・今津北線経由の梅田(現大阪梅田)発宝塚行きの下り準急が運行されていました。
登場したのは1995(平成7)年ダイヤ改正で、平日夕ラッシュ時に3本が設定されました。停車駅は上り(大阪梅田方面)と同じです。しかし2001(平成13)年ダイヤ改正で廃止され、わずか約6年という短命に終わりました。
下り準急が運行された夕ラッシュ時は朝ラッシュ時と異なり利用客が集中せず、特に今津北線では苦戦しました。
また今津北線の多くの駅下りホームは6両分の長さしかなく、8両編成が主体の神戸本線にあって、6両編成での運行を余儀なくされた点もマイナスに働いたのでしょう。なお上りホームは8両編成対応なので、上り準急は8両編成で運行されています。
阪急のライバルにあたるJR宝塚線は平日朝ラッシュ時でも宝塚駅から大阪駅までの所要時間は約30分で、速達性では阪急は太刀打ちできません。
しかし、先述したように阪急は宝塚駅始発なので、確実に座れるというメリットがあります。また運賃も阪急に軍配が上がります。地味ながら平日朝ラッシュ時を支える宝塚発大阪梅田行きの準急にエールを送りたいものです。