PCR検査の爆発的増加…楽観視できないオミクロン株 現役内科医は人体への弱毒化に淡い期待

ドクター備忘録

谷光 利昭 谷光 利昭

当院近辺では、1月11日から爆発的にPCR検査が増えているようです。当院も例外ではありません。年末年始には、ほとんどすることはありませんでしたが、3連休明けから一気に検査数が増え、検査の容器が足りなくなったほどです。

当院でも陽性の患者さんがおられますが、みなさん軽症から無症状の感じで落ち着いています。ここで問題となるのが2020年当初にコロナが広まったときのような厳重な隔離が必要かということです。

すでに欧米諸国では、オミクロン株に対してデータが出てきています。英国では、オミクロンはデルタの感染者よりも病院にかかるリスクが20~25%、一晩以上入院するリスクは40~45%低いと報告されています。南アフリカからは「オミクロンは世界的流行が終わり、地域的流行へと導く前兆となっているかもしれない」との報告があります。

欧州疾病管理センターは昨年末に「オミクロン感染者は、(ほぼ)すべて無症状か軽症で、死亡例もない」と発表しました。この言葉を鵜呑みにすることは非常に危険ですが、色々な面で淡い期待を持っている医師は多いでしょう。その一つがオミクロンの弱毒化なのです。

一方で、感染力はデルタ株よりも強いとされています。沖縄での爆発的感染の広がりが物語っています。また、ワクチンを2回接種していても4カ月以降ではワクチンの効果がかなり減弱することが示唆されています。その上、感染が始まって短期間しか経過していませんので、安易な考えで行動することは危険です。

以上のことから楽観視はできません。ただ、人体に対して弱毒化していることが分かれば、海外からの渡航の緩和をするよりも、世界各国のように国内での規制緩和を図ることが必要なのではないかと思います。

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