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ひとりぼっちで置き去りにされた子猫…深い悲しみに沈む家に光を運んできた ご飯タイムのかわいらしい習慣とは?

梨木 香奈 梨木 香奈

今から10年前、麦わら猫の女の子「彩月(あづき)」ちゃんは、親猫ときょうだい猫と一緒に、過酷な外での暮らしを送っていました。ある日、Xユーザー・彩月&萌花にゃんさん(@azukimokanyan)宅のベランダ下に身を寄せて過ごすようにーー。しばらくして、親子猫に異変が起こったといいます。

親猫に置き去りにされた子猫との出会い

それは2015年10月20日、夕方のことでした。飼い主さんはベランダの下に小さな影を見つけたのです。

「よく見ると、野良猫の親子でした。気にしてたびたび見ていると、なぜか子猫が1匹だけぽつんと離れたところにいたんです。『どうしてあの子だけ離れてるんだろう…』と不思議に思っていると、親猫はほかの子猫を連れて去ってしまいました」

冬を目前に、寒さが厳しくなってきたころ。飼い主さんは、このまま子猫を放っておくことはできませんでした。

「きっとひとりでは死んでしまう…そう思って、いてもたってもいられなくなったんです。急いで外に出て子猫のもとへ。私が近寄っても逃げることなく、すぐに保護しました」

生後まもないその子猫は、飼い主さんの片手に収まるほど、とても小さかったといいます。

「同居している父に相談することなく保護しましたが、幸い、受け入れてくれてホッとしました。そうして家族になったその子猫が、彩月です」

彩月ちゃんは寒さで震えていました。「体を温めないと…」。そう思った飼い主さんは、彩月ちゃんをストーブの前に連れていき、その小さな体を温めました。

悲しみに沈んだ日々に明かりを灯した小さな命

しばらくして体が温まってくると、彩月ちゃんはだんだんと緊張がほぐれてきた様子になったといいます。

「体を伸ばして、へそ天になって眠り始めました。目を覚ましたあと、ご飯をあげるとよく食べてくれてホッとしたのを覚えています」

当時、飼い主さんの家には、2匹の先住猫が暮らしていました。虎徹くんはお兄ちゃん、萌花ちゃんはお姉ちゃん代わりになって、彩月ちゃんをあたたかく受け入れてくれたといいます。

「翌日、動物病院へ連れていきました。体重250グラム、猫風邪は引いていないとのこと。先生からは『栄養のあるご飯を食べさせて、体温にも気をつけながら様子を見てください』と言われました」

実は、彩月ちゃんと出会ったその時期、飼い主さんは悲しい別れを経験したばかりだったといいます。

「母が亡くなって、父とのふたり暮らしが始まりました。生活が一変して精神的に不安定な日々が続き、とてもつらかったです。でも、彩月を迎えたことで忙しくなり、救われました」

そんな飼い主さん家族の状況を察したのか、虎徹くんと萌花ちゃんはそっと支えてくれました。

「ふたりが一緒に彩月を育ててくれて、さらに父のことも気にかけてくれたんです。悲しみに沈んでいた家の雰囲気が、パッと明るくなったように感じられました」

彩月ちゃんはすくすくと成長しました。あたたかく見守ってくれていた虎徹くん、萌花ちゃんは、それぞれ虹の橋へ。惜しみなく注いでくれた彩月ちゃんへの愛情は、今もずっと息づいています。

彩月ちゃんしかしない行動にほっこり

彩月ちゃんは、現在10歳を迎えました。7年前に保護した兄弟猫・乃空(のあ)くん、羅希(らき)くん、そして5歳の望那(もな)くんとともに、にぎやかな日々を送っています。

「小さいころはお転婆でしたが、今はちょっぴり甘え下手になりました。他の子たちに遠慮して、遊びたくても一歩引いて見たり、譲ったり…でも、誰もいないときは、私が座っているところにそっとやって来て、自分のお尻をくっつけて座ったり、おもちゃをくわえて持ってきて『遊んで~』とアピールしたりします」

また、彩月ちゃんは他の子がしないある行動をするといいます。

「ご飯のとき、お気に入りのおもちゃを持ってきて、ご飯皿に乗せてから食べ始めるんです。そんなところもたまらなく愛らしいですね」

彩月ちゃんとの出会いは、飼い主さん親子にたくさんの幸せをもたらしました。ともに歩んだ日々を振り返って、飼い主さんが今、彩月ちゃんに伝えたい言葉とはーー

「彩月に出会うことができて、本当に幸せ。とっても大事な家族です。『元気に育ってくれてありがとう。これからもよろしくね! 大好きだよ』。そう伝えたいですね」

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