大阪府の関西大学で12月、大学と保護者会、大学生協などがコロナ禍にあえぐ大学生を応援する「食の支援」を次々と実施した。
同大学の千里山キャンパスでは20日、希望する学生にカップ麺や鏡餅、缶詰や、保存食の水、乾パン、米などを詰め合わせた「食と防災ギフト」が配られた。配布会場では芝井敬司理事長(65)、前田裕学長(65)が自ら学生に手渡し。「よいお年を」などと声をかけていた。
関大生の保護者会にあたる関西大学教育後援会が実施。2020年に続く2度目の実施で、前回は500人分の配布に約2000人の応募が殺到した。今年は抽選に漏れる学生が出ないよう3000人分が用意され、希望した約2000人の学生全員に行き渡った。
学生に贈られる食料、非常食は約5万点。一部は教育後援会幹部からの寄付でまかなわれているという。コロナが猛威を振るい、帰省もままならなかった2020年に比べると状況はましだが、関西大学教育後援会の横田英哲会長(52)は「まだまだ苦しんでいる学生がいる。大学に見守っている人がいるということを感じてほしい」と支援の必要性を強調した。
受け取った学生からは好評。一人暮らしだという法学部2年生の関桃子さん(20)は「いろんなことを大学が手広く支援してくれる。防災グッズも自分では用意していないのでうれしい」と笑顔。環境都市工学部4年生の木村夏帆さん(22)は「バイトが減っている人にとってはありがたい。一人暮らしの学生にもっと支援があれば」と求めた。
留学生の姿もあった。化学生命工学部1年生でインドネシア出身のヤンセン・ニコラスさん(20)は、2年間の日本語学校通学の後、2021年に関大に入学。オミクロン株の影響で、年末年始は「インドネシアに帰れるけど、もし日本に入国できなかったら期末試験が受けられず、単位を落とすことになる」と、日本で過ごすという。年越しグッズを受け取り感謝しきりだったが「留学生に奨学金制度を増やして欲しい」と切実に訴えた。
関西大学生協は、同生協が加入する大阪府生活協同組合連合会による「食の支援」を受け、一人暮らしの関大生に米2キロ、餅、カレー、うどん、缶詰などの物資を配布。450セットの募集に、562人から応募があった。
経済学部1年生の宮本結生さん(18)は、バイトのシフトが減少傾向だといい「かなりありがたい。付き合い以外の外食をしないなど対策を自分ではしている」と、つつましい一人暮らしライフをのぞかせる。
関大生協の関係者は「昔の苦学生という言葉にあてはまるのかわからないが、困っている子は本当に困っている。学生から助かる、ありがたいという声が出る以上は続けていきたい」と、支援の継続を模索していた。