「看板が脱皮?」「幽体離脱」雪国のレアな標識が話題 北海道の気象予報士も「初めて見ました」

金井 かおる 金井 かおる

 HBC北海道放送のアナウンサーで気象予報士の近藤肇さんが自身のTwitter(@hajimenokondo)に投稿した珍しい雪の写真が注目を集めています。

 近藤さんは17日、自身のTwitterを更新。「『看板が脱皮???』」「こんなの見たことありますか?」と2枚の写真を投稿したところ、約5万のいいねがつきました。写真には道路などでよく見る丸型の標識が写っているのですが、支柱にはうり二つの雪のオブジェがしなだれかかっています。ユーザーからは「脱皮www」「幽体離脱みたい」「これはすごい」「なんだこれ!」「面白い」「どうやったらこうなるの?」など驚きの声が上がっています。

北海道でも「めったにないですね」

 北海道の天気を伝えて16年目、現在は夕方の情報ワイド番組「今日ドキッ!」の天気予報を担当する近藤さんに電話で話を聞きました。

──Twitterの写真に驚きました。

 「十勝地方の農家さんで、メークインやナガイモ、エダマメなどを栽培する知人の山上美樹彦さんが送ってくれました。撮影日は1月12日。家の裏の浄化槽の目印の看板だそうで、高さは2メートルぐらい。写真を撮ったときは曲がった状態で止まっており、その瞬間を捉えています。山上さんは『とても珍しかったので記録しておきました』と話していました」

──北海道ではよくある光景ですか?

 「これは私自身も初めて見ました。北海道の人でも初めて見たって人は多いんじゃないんでしょうか。標識に雪がくっつくことはよくあることだと思うんですよ。柵とか橋の欄干とか塀の上にくっつくこともよくある。でもこの写真のように、ぐんにゃりと粘土のように粘り気のある雪が凍りつつ曲がっているのが珍しい。めったにないですね」

──投稿では「脱皮」と表現されています。

 「『脱皮』というのは僕がネーミングをつけましたが、いわゆる『雪ひも』という現象に分類されるでしょう。柵や電線などについた雪が垂れ下がってひものようになる現象です。湿った雪がくっついて垂れ下がってしまうことはたまにありますが、今回のように看板の柱とほぼ同じ太さでひん曲がっているのはレアな現象だと思います」

「どうしてこうなった?」雪ひも現象を解説

──雪ひもが生まれる仕組みを教えてください。

 「北海道の真冬は普通、気温が低いのでサラサラの雪が降ることが多いんですが、11日から12日にかけて、北海道の近くまで低気圧が北上してきました。低気圧は暖かく湿った空気をともなっているので湿った雪が降ります。本州でよく降るタイプのべちゃべちゃの水分たっぷりの雪ですね。撮影した北海道河西郡芽室町の地上付近では、氷点下の気温だったので、雪はべちゃべちゃなんですが、看板にくっついた途端に凍り始めた。ある程度のかたさを保ったまま看板にくっついて、凍りつつ着雪したのですぐには落ちないわけなんです。(看板の)頭の部分が重いんでしょうね。その重みで時間とともに、ぐにゃり、ぐんにゃりとゆっくりと曲がってきたんですね。山上さんによると、次の日には倒れていたそうです」

 「本来、北海道で湿った雪が降るのは春先が多いんですよ。春が近くなると暖かくなってくるからこういったベタベタした雪が降ることが多いんですが、1月の真冬に湿った雪が降ることが珍しい。この日は特に十勝地方で大雪、ドカ雪が降ったんですよ。十勝地方の大雪と、季節外れのベタ雪が重なったことで見られた現象だと理解しています」

「雪を楽しむ暮らし…全国に伝わりうれしい」

 近藤さんは本格的にTwitter投稿を始めてまだ1年あまり。HBC北海道放送のマスコットキャラクターもんすけによる雪かき予報など、雪国ならではのお天気情報を中心に発信を続けています。

 これまでに一番注目された投稿は、札幌のビルの谷間から朝日が昇る写真の1484いいね。「それで十分喜んでいましたが、今回はあれよあれよという間に1万2万を超えてしまって。とまどっています」と驚いた様子でした。

 「大雪が降った時は、立ち往生や大雪の事故など、どうしても災害のニュースが中心になりますが、こういう雪国ならではのほっこりする、思わず笑ってしまうような、そんな風景も実は広がっています」という近藤さん。「寒さや雪を楽しもうとする雪国の人たちの暮らしがあるということを知ってほしい」とし、「平和なネタで全国に感動が広がっていったと思うと大変うれしく思っています。北海道の雪の面白い現象を驚いたり、面白がってくれたりすることは、地元の人間としてはすごく喜ばしく思っています」と話しました。

おすすめニュース

気になるキーワード

新着ニュース