レストランで「お苦手な食材は…」という聞き方はやめて 「苦手とアレルギーは違う」

宮前 晶子 宮前 晶子

卵、牛乳、小麦、そば、ナッツ、甲殻類、キウイやりんご、桃などの果物、さば、牛肉・豚肉・鶏肉、etc.。これらの食物に共通すること、わかりますか? 答えは食物アレルギーの原因になる食材であるということ。

「食物アレルギー?周囲にアレルギー持ちがいないから関係ない」「皮膚がかゆくなるだけでしょ?」と思われがちだけど、少量食べるだけでむくみや発疹、くしゃみ・鼻づまり、口・目の異常、下痢・嘔吐、頭痛などの症状に苦しんだり、呼吸困難になったり。複数の臓器に症状が出て、生命の危険につながる(アナフィラキシーショック)ことも。血となり肉となる食物も、食物アレルギー当事者にとっては毒になるのですが、まだまだ知られていないのが現実。

おると整形外科医(@Ortho_FL)さんは、Twitterでこんな呼びかけをしています。「アレルギー持ちの人に対して、「お苦手な食材は〇〇と伺っておりますが〜」という言い方で確認するのは、できればやめてあげてほしい。元々好きだったのにアレルギーで食べれなくなった場合もあるし、食べると病院送りになったり死ぬこともある。苦手とか得意とかって話ではないと知っておいてほしい」

強いアレルギーを持つ友人との食事中の会話で「苦手」という言葉で言われるのは違う、と違和感を持ったそう。また注釈として、「これは予約の時点で「〜アレルギー」と伝えてる場合の話ね。それでも「お苦手」と言われるのはやはりなんか違うとは思う」と説明しています。

そんな、おると整形外科医さんの投稿に対して、
「カナダではストレートに、“アレルギーありますか?”と聞かれます」
「私はそばアレルギーでアナフィラキシーを起こしているので、苦手と言うより死んでしまいます」
「アレルギーは苦手とか得意とか努力してどうにかなるものではない」
「苦手とか言われたら、ハッキリとアレルギーですと言います。苦手とアレルギーは全く違うのに!」
など食物アレルギーを持つ人たちからのコメントが寄せられています。

食べられないものがある人の外食を救うための事業を展開する株式会社CAN EATのアンケート調査によると、楽しいはずの外食で不安を感じる人が約8割も。同調査では約4割の人が何も食べずにお店を出たことがあると答えています。

おると整形外科医さんの投稿には、
「“アレルギーなどはございませんか?”って聞いたら、“アレルギーって言うのやめてくれる?食べられないのを馬鹿にしてんの?”ってキレられたことあります。 人によって琴線に触れる言葉ってわからない」
「“○○なしで”と言われたら、嫌いなのかアレルギーなのか確認します。シェフの対処も変わってきます」
というコメントもあり、伝え方、聞き方にも配慮が必要だということがわかります。

飲食業に携わる人たちも食物アレルギーに配慮しているようです。 実際、現場でも食事制限に対応する動きはあり、『アレルギーヒアリングシステム』(株式会社CAN EAT)を導入し、アレルギー事故防止に努めるレストラン・ホテルなども出てきました。また、同社では、スマートフォンで原材料ラベルを撮影するだけでアレルギー情報を把握・検索できるアプリ『アレルギー管理サービス』を開発しています。

おると整形外科医さんは過去にこんな投稿もしています。

「アレルギーや白血病、赤ちゃんなどには、どう頑張っても食べられないものというのが存在します。それを無視して食べさせることは、やってる人は善意かもしれませんが、やられた側は最悪死にます。愛とか根性とか努力で乗り越えられるものでは到底ありません。死なせてからじゃ遅いのでマジでやめて」

「世間のアレルギーに対する認識は、かなり甘めです。人が死ぬこともある、という認識が広まってくれたら」と話すおると整形外科医さん。誰もが楽しく、不安を感じることなく、食を楽しめる社会になるために、私たち一人ひとりが正しい知識を持つようにしたいですね。

おると整形外科医さんは、日本整形外科学会専門医であり、正しく面白く医療解説・ライフハック系をTwitterで投稿。そのほか、医師の転職、非常勤やスポットによるバイト、フリーランスの働き方、医師のキャリアなどなどについての考察をブログで発信しています。また「株式会社 CAN EAT」では、「すべての人の食事をおいしく・楽しく・健康的にする」をミッションに、食べられないものがある人の外食や外食事業者を支援するサービスを行っています。

■おると🔨🐦整形外科医さんのTwitter https://twitter.com/Ortho_FL/
■ブログ「フリーランスドクターが医師転職・バイト・ライフスタイルを考える『フリドク』」https://free-doc.hatenablog.com

■株式会社CAN EAT https://about.caneat.jp

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