畑の色や鳥から気流把握…パラグライダーにハマッた会社員 ついにアルゼンチンの世界大会へ 

京都新聞社 京都新聞社

 アルゼンチンで10、11月に開かれたパラグライダーの世界大会に、日東精工(京都府綾部市)の社員、岩﨑拓夫さん(38)=京都府福知山市駒場新町=が初出場した。会社の激励を受けて臨んだが、クロスカントリー部門で132位と世界の壁を痛感。「経験を次につなげていきたい」と飛躍を誓う。

 岩﨑さんは京都府舞鶴市出身。金沢工業大在学中、パラグライダーに出会った。「風の力だけで飛ぶこと」が魅力で、サーマル(上昇気流)を気象情報などから読み取る。サーマルに乗った小さな虫を食べるトビから気流を察知したり、地表の畑の色から気温差を把握したりする。「技術以上に経験がものをいう」奥深さがあるという。

 2018年のジャカルタ・アジア大会男子クロスカントリー団体で金メダルを獲得。昨年のジャパンリーグ4位、日本代表選抜2位と国内ランキング上位に食い込み、海外でも経験を重ね、世界選手権出場を勝ち取った。

 日東精工産機事業部(綾部市城山町)で働きながら、休日に転戦しての快挙に、同社は今回の世界大会前、ロゴ入りの競技ヘルメットを贈った。岩﨑さんは「期待に応えたいと気持ちが入った」と振り返る。

 出場した「パラグライディング世界選手権」には150人が参加し、7日間の結果で競った。コロナ禍による開催地変更も影響し、準備は不十分。初めて飛ぶアルゼンチンの気候に翻弄(ほんろう)された。多くの選手がゴールできない悪天候に見舞われ、ルート選択のミスで飛び立つことすらができない日もあった。

 気を吐いたのは大会6日目。上位選手の飛行を追う作戦をとり、この日18位。各国の得点上位2人の合計点で競う団体戦では、日本の17位に貢献した。「自分のフライトができたとは言えないが、いい経験になった」と海外選手の高い技術を学ぶ収穫もあった。

 国内のレベルアップも意識し、「さらに練習して世界選手権に再挑戦したい。日本のレベルが上がれば国際大会の出場枠も増える。今回学んだことを国内でも生かし、見本になりたい」と語った。

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