大阪・北新地のビル放火殺人事件の前日に現場となった心療内科クリニックの非常口の扉に、外側から粘着テープが「目張り」のように貼られていたことが判明したことを受け、元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は21日、当サイトの取材に対し、計画的な犯行に含まれる行為である可能性を指摘した。
17日午前に発生した火災で、大阪府警は現住建造物等放火と殺人の疑いで、意識不明の重体となっている住所職業不詳・谷本盛雄容疑者(61)を特定。事件当日に24人の死亡が確認されたが、府警は21日、新たに20代とみられる女性1人が死亡したと発表したことで、犠牲者は25人となった。生存している2人には谷本容疑者が含まれている。
同容疑者の自宅とみられる大阪市内の住宅からは、2019年の京都アニメーション事件から2年になることを報じた今年7月の新聞記事が見つかっていた。小川氏は「どこまで参考にしたか分かりませんが、その記事をわざわざ保管していたということは、その記事を読んで、どういった犯行だったかということを谷本容疑者は知っていたということが言える」と指摘した。
また、この住宅からは「放火殺人」と書かれたメモが見つかっていたという。本人が書いたとは断定できていないが、小川氏は「容疑者がインターネットをやっていたかは分かりませんが、そういった事件の経緯などを調べていた可能性はあると思います」と付け加えた。
さらに、捜査関係者によると事件前日の16日、非常階段につながる扉に粘着テープが貼られていたことも分かった。犠牲になった院長の西沢弘太郎さん(49)も確認し、当日までにはがしたという。
小川氏は「ガソリンを約1カ月前に購入するなど、容疑者には入念な計画性があり、その中で、ドアが開かないようにではなく、扉の隙間から煙が逃げないよう、煙が内部に充満するようにするために目張りをしていた可能性はある」と推測。その上で、同氏は「目張りに関して、本人がやったと明らかになれば、多人数を無差別的に殺害することを前提に犯行に及んだ可能性が考えられる」と見解を示した。