アニメ制作会社「京都アニメーション」の京都市内にあるスタジオで18日に起きた放火火災で、33人の死亡が確認された。平成以降では最多の犠牲者を出した放火事件を受け、元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は19日、当サイトの取材に対し、「執拗な恨みを持った犯行」と犯人像について見解を語った。
京都府警はガソリンのような液体をまいて火をつけたとみられる、さいたま市在住の男(41)の身柄を確保。殺人と現住建造物等放火の疑いで調べているが、男は病院に搬送されて意識不明の重体。男は「死ね」などと叫びながらビルに入り、ガソリンとみられる液体をバケツからまいて放火した後、逃走したとみられる。男は現場から約100メートル離れた住宅街で身柄を確保された際、ライターで火をつけたという旨を捜査員に話したという。
小川氏は「放火殺人の特徴としては、人を殴ったり刺したりということではないので、手加減が分からない。最初に火をつけた時は、こんなに事が大きくなるとは思わなかったというケースも少なくはない。今回も30人以上もの人が亡くなられるということまでは考えていなかった可能性もある」と、放火犯の心理を分析した。
同氏は「今回の件では青森の事件を連想する」と指摘した。2001年5月8日に青森県弘前市で発生した「武富士弘前支店強盗殺人・放火事件」だ。強盗犯が店舗内にガソリンをまいて放火し、従業員5人の命を奪った悲惨な事件だった。犯人は当時40代のタクシー運転手で、借金苦による犯行と報じられている。男には死刑判決が下され、14年8月に刑が執行された。
小川氏は、今回の放火事件の背景に「相当強いうらみがある」と指摘した。「放火する者は自暴自棄となって犯行に及ぶことが多い。今回もそうで、実際、意識不明になったように、自分の命をかけてもやるという思いがみえる。『パクリやがって』という言葉を発していたということだが、会社やグループの人たちに対して、相当に強い、怨念、うらみ、つらみがあり、放火で仕返ししようとした考えられる」と推測した。